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セリエA 2年前

「自分に殺意すら覚えた」吉田麻也が苦んだ末に掴んだ信頼。サッカー日本代表主将が迎えた岐路、「一番の願い」とは?【21/22欧州日本人総括コラム】

シリーズ:21/22欧州日本人総括コラム text by 舩木渉 photo by Getty Images

吉田麻也の新天地はどこに?

吉田麻也
【写真:Getty Images】



 それでも2年半にわたってクラブの苦しい時期を支えた吉田は、在籍中に公式戦74試合に出場して3得点6アシストを記録した。そして、冒頭で述べた通りピッチ内外でチームメイトやクラブ、ファン・サポーターからも尊敬され、愛される存在だった。加入してすぐにイタリア語を習得し、チーム内外で積極的にコミュニケーションを取ることで信頼を積み重ねていった。

 だが、惜しまれつつもサンプドリア退団が決まった。カタールワールドカップが控えた2022/23シーズンに向けて新たな所属クラブを探さねばならない。本稿を執筆している7月4日現在、まだ移籍先は発表されていないが、6月の日本代表活動中に吉田は自らの将来について次のように語っていた。

「やっぱり試合に出なければいけないなと思います。ただ、(競争のレベルを)落としていくのは簡単なので、やっぱり高いところに身を置きたいなと。ワールドカップに関係なく、自分がサッカー選手として残り限られていくキャリアの中で、高いレベルに身を置きたいというのはシンプルに選手としての一番の願いです」

 当時はサンプドリアとの契約を延長する可能性もわずかに残されていたようだが、結局6月30日に契約満了を迎えてフリーになった。現在は新シーズンからセリエAに昇格するモンツァからの関心が伝えられており、Jリーグ復帰の可能性も取り沙汰されている。

 6月20日には日本プロサッカー選手会の新代表理事(会長)に就任することも発表された吉田。キャリアの集大成と位置づけるカタールワールドカップ開幕が約4ヶ月後に控える中で、どんな決断を下すだろうか。イタリアでの最後のシーズンで味わった苦しみを払拭した日本代表キャプテンが再び輝きを放つ姿を楽しみにしたい。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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