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無駄遣いは? アーセナルの補強診断。過去5年の獲得選手を5段階でチェック。クラブ史上最高額の約100億円の移籍金で加入した男の評価は?

text by 編集部 photo by Getty Images

B評価(成功した補強)


【写真:Getty Images】


FW:アレクサンドル・ラカゼット(元フランス代表)
生年月日:1991年5月28日
加入年:2017年夏
移籍金:5300万ユーロ(約63.6億円)
通算成績:206試合71得点36アシスト

 卓越したリンクプレーの上手さはアーセナルの戦術にフィットし、近年の功労者であることは間違いないが“B評価”とした。というのも、アレクサンドル・ラカゼットはアーセナル加入以前にリーグ・アンで3季連続20ゴール以上決めており、獲得時に期待をされていた試合を決める“エース”としての活躍ができたとは言い難い。それでも在籍した5年間で怪我による離脱がほとんどなく、常に戦力として活躍したことは大いに評価すべきである。

GK:ベルント・レノ(ドイツ代表)
生年月日:1992年3月4日
加入年:2018年夏
移籍金:2500万ユーロ(約30億円)
通算成績:125試合145失点

 ベルント・レノはペトル・チェフの後を継ぐ形で2018/19シーズンから3シーズンにわたってアーセナルの正GKを務めた。その間、決してクラブは上向きの状態ではなかったが、彼のビッグセーブがなければさらに厳しいものとなっていただろう。2021/22シーズンからはアーロン・ラムズデールにポジションを奪われる形で2番手へと降格しており、現行契約が来季までのことを踏まえると今夏での退団が既定路線となっている。

DF:キーラン・ティアニー(スコットランド代表)
生年月日:1997年6月5日
加入年:2019年夏
移籍金:2700万ユーロ(約32.4億円)
通算成績:87試合4得点12アシスト

 どんなに極寒でも半袖でプレーし続けるキーラン・ティアニーは、長くアーセナルのウィークポイントだった左SBで不動の地位を築いている。攻撃面では単独でのドリブル突破と高精度のクロス、守備面ではアジリティを活かした粘り強い守備で相手のサイド攻撃に蓋をする。このようにピッチにいれば頼もしい存在であることは間違いないのだが、脱臼や膝の負傷などの怪我を短期間で繰り返す傾向にあり、不在時が多いのも事実だ。

FW:ガブリエウ・マルティネッリ(ブラジル代表)
生年月日:2001年6月18日
加入年:2019年夏
移籍金:710万ユーロ(約8.5億円)
通算成績:84試合18得点13アシスト

 遡ること3年前にガブリエウ・マルティネッリはアーセナルの選手となった。ブラジル4部から名門へのステップアップは大きな話題を呼ぶとともに、その実力に対して懐疑的な意見もあったが、今となってはスタメンに定着するまでに成長を遂げている。スピードと非凡な得点力を兼ね備えるドリブラーはミケル・アルテタのチームにおいて重要な存在となっており、昨季は自己最多の12ゴールに直接関与した。

MF:トーマス・パーティ(ガーナ代表)
生年月日:1993年6月13日
加入年:2020年夏
移籍金:5000万ユーロ(約60億円)
通算成績:59試合2得点4アシスト

 彼が“いる“と”いない“では今のアーセナルは全く異なるチームとなる。中盤での守備強度が高い上に展開力も兼ね備えるスーパーなボランチは、加入2年目の2021/22シーズンにプレミアリーグに完全にフィット。それでも「B評価」としたのはあまりの負傷離脱の多さであり、この活躍をシーズン通して見られるようになればすぐにでも「A評価」へと上がるだろう。

DF:ベン・ホワイト(イングランド代表)
生年月日:1997年10月8日
加入年:2021年夏
移籍金:5850万ユーロ(約70.2億円)
通算成績:37試合0得点0アシスト

 DFとしてはクラブ史上最高額の移籍金で獲得したベン・ホワイトは、加入1年目からガブリエウ・マガリャンイスと堅いCBコンビを築き、低迷していたクラブを上位進出に導く一因となった。CB以外にも右SBや中盤でのプレーが可能な上にビルドアップでの貢献度も高く、大成功補強と言えるだろう。

DF:冨安健洋(日本代表)
生年月日:1998年11月5日
加入年:2021年夏
移籍金:1860万ユーロ(約22.3億円)
通算成績:22試合0得点1アシスト

 バカリ・サニャの退団以降、常に補強ポイントだった右SBの獲得論争に終止符を打ったのが冨安健洋だった。空中戦を含めた対人戦で無類の強さを発揮し、ミケル・アルテタ監督がSBに求める両足を使える技術も兼ね備えている。一方で昨季終盤は両ふくらはぎを立て続けに負傷するなど身体的な負荷が掛かっていることは事実であり、安定した出場機会の確保が今後の課題だ。

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