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久保建英 2年前

15分の「久保建英劇場」が始まったきっかけとは? レアル・ソシエダを動かし、マンUを撃破した“ある変化”【EL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

マンチェスター・ユナイテッドを撃破した始まった「久保建英劇場」


【写真:Getty Images】



 後半も久保は2トップの一角として出場。この時点で変わったのは、相方がウマル・サディクからアレクサンダー・セルロートになっただけだった。

 しかし、50分を経過したあたりで、アルグアシル監督は更なる変化をつけた。フォーメーションをそれまでのダイヤモンド型4-4-2から4-3-3に移したのである。

 この変更は4-2-3-1のユナイテッドとの嚙み合わせを考えて、というだけでないだろう。ユナイテッドは後半、本職センターバックのヴィクトル・リンデロフを右サイドバックに回し、リサンドロ・マルティネスをCBに入れていたため、ソシエダからするとサイドで質的優位を作る、そして194cmのセルロートを175cmのマルティネスに当て優位性を生み出すという狙いもあったはずだ。

 いずれにしても、このフォーメーションチェンジはプラスに働いた。

 久保はまさに水を得た魚のようで、対峙したリンデロフを上回った。54分、56分と立て続けに高質なクロスを上げ、小柄なマルティネスとのマッチアップを狙っていたセルロートにチャンスを届けた。さらに56分には右サイドでボールを持つと、縦に運びフレッジを振り切る。そしてマイナス方向のダビド・シルバにパスを出し、チャンスを作っている。結果、D・シルバのシュートがマルティネスの手に当たったとされ、ソシエダにPKが与えられた。

 久保はこれだけでは終わらない。64分にはペナルティーエリア左角付近から左足で強烈なシュートを放ち、GKダビド・デ・ヘアを脅かしている。4-3-3に変更されてからの約15分間は、まさに「久保劇場」であった。

 前半ユナイテッドに押されながら、後半に変化をつけ勝利を手繰り寄せたアルグアシル監督の采配は見事。もちろん、その変化に対応し強敵を敗北に追いやったピッチ上の選手たちも高く評価されるべきである。

 とくに左サイドで躍動し、ソシエダを“動かした”久保はまた一つ株を上げたはず。選手自身も、確かな手応えを掴んだのではないか。次の試合(ヘタフェ戦)はすぐにやってくる。ユナイテッド戦で得た自信を力に変え、ゴールやアシストという結果を残せるか注目だ。

(文:小澤祐作)

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