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遠藤航を強くした2つの「出られない経験」4年間でサッカー日本代表MFが乗り越えた壁【コラム】

シリーズ:サッカー日本代表、カタールW杯までの4年間 text by 元川悦子 photo by Getty Images

さらに進化を続ける遠藤航



 続くオーストラリア代表との大一番で、彼はその実力を実証してみせる。森保監督が4-3-3に布陣変更したこともあり、中盤の遠藤・守田英正、田中碧の中盤3枚の連係と連動性は日本代表の生命線だった。

 アンカーに陣取った遠藤は若い2人を確実に動かし、いい距離感を保ちながら攻守両面でチームを支えた。そして2-1の劇的勝利の原動力となる。彼の冷静さと落ち着き、卓越した戦術眼がなかったら、日本代表はあの時点で”終わっていた“可能性もあったのだ。

 そこからチームは浮上のきっかけをつかみ、勝利を重ねていく。

 遠藤が司る中盤は安定感を増し、最終予選序盤のような不安はなくなった。「モリ(守田)とアオ(田中)とは全員がどこでもプレーできるし、同じ仕事ができる」と彼自身も話していたが、その3枚が機能したから、日本は最後の最後で7大会連続W杯切符を得ることができた。森保監督も遠藤への信頼をより深めたに違いない。

 その後も遠藤は進化を続けている。21/22シーズンもデュエル王に輝き、チームを力強くけん引。今年5月14日のシーズン最終節・ケルン戦では自らのゴールで残留を決めるという大仕事もやってのけた。そして今季はインサイドハーフでプレーすることも多く、守備やボール奪取のみならず、パスやゴール前への飛び出し、シュートといった攻撃能力をブラッシュアップさせている。

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