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Jリーグ 1年前

北京五輪世代が日本サッカーの今後を左右する。切り拓いた多様なキャリアの行く末【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

北京五輪世代が持つ強み



 北京世代のストロングポイントと言えるのは、クラブ・代表の両方での豊富な国際経験だ。筆頭である内田は、2007年U-20W杯(カナダ)、北京五輪、2010年ブラジル・2014年ブラジルの両W杯と数多くの世界大会を経験。2010年夏に加入したシャルケではUEFAチャンピオンズリーグ(欧州CL)でベスト4を経験している。

 こうした実績を買われて、日本サッカー協会から初代JFAロールモデルコーチにも任命されている。その後、中村憲剛、阿部勇樹らが続いたが、欧州トップ・オブ・トップの現実を育成年代にどれだけ還元できるかが、日本サッカーの今後を左右すると言っていい。

 高度な国際経験値を誇るのは、長友佑都、香川真司、岡崎慎司、吉田麻也らも同じ。長友はカタールW杯の後、現役続行を含めて考えたというが、「体もまだまだ動くし、プレーを続けたい」と来季もFC東京残留が濃厚となった。

 香川と岡崎は少なくとも今季終了まではシントトロイデンでプレーする見通しだが、その後は未知数だ。吉田にしてもシャルケに来季も残留できるかどうかは今季の結果次第。本当に1年1年が勝負である。

 ただ、彼らが欧州5大リーグや欧州CLなどのハイレベルな舞台を経験してきたことは本当に大きい。それはカタールW杯でも実際に生かされたが、それだけでは足りない。いかにして育成年代や次世代にその経験を伝えていくのか。それを真剣に考える時期に来ているのは事実だろう。

 すでに引退から4年が経過した梶山もギリシャのパナシナイコスに在籍した経験があるし、今季限りで退いた伊野波もクロアチアのハイドゥク・スプリトでプレーしている。安田にしてもオランダのフィテッセや韓国の釜山アイパークに赴いているし、現在シンガポールにいる李忠成も欧州・アジアの両方を知る選手だ。細貝萌に至っては、ドイツのアウクスブルク、レバークーゼン、ヘルタ・ベルリン、シュツットガルト、トルコのブルサスポル、タイのブリーラム、バンコク・ユナイテッドと実に多様な環境を経験している。

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