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高校サッカー選手権“私的” ベストマッチ5選。激闘、名将対決…。記憶に刻まれた名勝負を厳選

text by 土屋雅史 photo by Getty Images

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28日に開幕した第101回全国高校サッカー選手権大会では、どのような名勝負が人々の記憶に残されるのだろうか。好評発売中の『フットボール批評 issue38』では1979年生まれのサッカーライター土屋雅史がリアルタイムで見てきた試合の中から高校サッカー選手権ベストマッチを10試合ほど厳選して紹介している。今回はその“私的ベストマッチ”の一部を“さらに”厳選して紹介する。(文:土屋雅史)


関東第一対静岡学園 勝利の追求と敗者へのリスペクト


【写真:Getty Images】

第100回大会(2021年度)準々決勝
関東第一 1-1(PK4-3) 静岡学園

 関東第一高校を率いる小野貴裕監督は思考を巡らせていた。同校初となった冬の全国ベスト8。向かい合うのはJリーグ内定者4人を擁する優勝候補の静岡学園高校。普通にやり合っても勝ち目は薄い。選択肢は2つ。自分たちのスタイルを貫いて、華々しく散るか。徹底した守備に振り切って、わずかな勝ち筋を見出すか。

 悩みに悩んだ指揮官の決断は後者。「我々のやりたいことがあったとしても、それをやって大敗してしまって、『やっぱり他のチームが準々決勝に行った方が良かったんじゃないか』と言われることだけは避けなければいけないこと。『ここまで戦ったチームに失礼があってはいけないな』と。『勝ってきた責任があるな』とはずっと思っていました」。

 果たして試合は一方的に攻め込まれる。とりわけ大会ナンバーワンドリブラーという評価を受けていた静岡学園の左SH古川陽介には、何度もサイドを切り裂かれたが、キャプテンの池田健人を中心にした守備陣は粘り強くピンチを凌いでいく。それでも60分に先制点を献上。以降も攻撃の機会はほとんど作れない。

 だが、この試合で唯一のチャンスは最終盤にやってくる。80分。神山寛尚のフィードに途中出場の日下空が左サイドを抜け出し、グラウンダーのクロスを中央へ。ここにやはり途中出場の坂井航太が全速力で走り込み、ボールをゴールネットへ送り届ける。土壇場での劇的な同点弾。PK戦では守護神の笠島李月が古川のキックをストップし、関東第一が準決勝へと勝ち上がった。

 彼らが何よりも大事にしたのは『敗者へのリスペクト』だ。負けていったチームへの責任と、勝ってきたことへの責任。敗者の想いを汲み、とにかく勝利を追求する姿勢が、選手権史上に残る一戦には貫かれていた。


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