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【ニューカッスルの快進撃エピソード2】奇跡の復活劇。1ヶ月の監督不在、その間に何が? 開幕14戦未勝利から残留できた理由

シリーズ:ニューカッスルの快進撃 text by WASSY photo by Getty Images

状況を一変させた大型補強



 実際、就任から約1ヶ月は結果が出ず、年末までで勝利を収めたのは第15節バーンリー戦のみ、という崖っぷちの状態に追い込まれたが、この期間に冬の移籍市場に向けた補強ポイントを洗い出すことができたのは大きかったと言える。前線にはアラン・サン・マクシマンやカラム・ウィルソン、ミゲル・アルミロンなど一定のタレントが揃っていたが、逆にディフェンスラインは2017年のプレミアリーグ昇格前後からプレーする選手が多くなっており、マンネリ化が進んでいた守備の再構築からスタートさせることが決定した。

 1月の移籍市場が開幕するや否や、アトレティコ・マドリードからイングランド代表DFキーラン・トリッピアーが加わった。前季ラ・リーガ優勝を経験している選手が、プレミアリーグで降格圏に沈むクラブへシーズン途中に移籍するのは、まさに異例中の異例。だが彼のような実績ある選手が最初にプロジェクトを信頼してニューカッスル移籍を選んだことにより、その後の交渉は進めやすくなる。

 これを機に補強が一気に進み、イングランドでの経験が豊富なDFマット・ターゲット、下部組織出身のDFダン・バーンを獲得して、まずは残留を目指す上で必要な最終ラインを形成することに成功した。

 エースFWカラム・ウィルソンのバックアップには、同じく降格圏に沈むライバルのバーンリーからFWクリス・ウッドを強奪。ウィルソンは絶対的スタメンの選手でありながら負傷が多く、シーズンの半分ほどしか稼働できないという難点があったが、残留争いの経験も豊富であり、プレミアリーグで実力証明済みのウッドは控えとして適任だった。

 残留争いに向けたベテランの補強が目立つ一方で、将来性ある選手もチームに加わった。リヨンから3700万ポンドを投じて獲得した24歳のブラジル代表MFブルーノ・ギマランイスは、ビッグクラブからも注目を集めていたタレントで、アーセナルも交渉に本腰を入れていたが、資金力で勝るニューカッスルが契約に漕ぎ着けた。

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