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なぜアーセナルは0-2から大逆転できたのか? 前半で冨安健洋が下げられた理由【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 編集部 photo by Getty Images

ヒーローとなった男


 そしてこの試合でヒーローとなったのがネルソンだった。エミール・スミス=ロウに代わって69分に途中出場すると、1分も経たないうちにホワイトのゴールをアシストし、ラストプレーで億千金の勝ち越しゴールを叩き込んだ。

 現在のアーセナルには、ブカヨ・サカやスミス=ロウ、エディ・エンケティアらアカデミー産の選手が多くいるが、その中で最初に頭角を現したのがネルソンだった。しかし、彼らと比較すると伸び悩み、昨季はローン移籍先のオランダのフェイエノールトでも満足のいく結果を残せなかった。

 今季も2度に渡る太ももの怪我の影響で満足のいくような出場機会に恵まれておらず、今節はカタールW杯以降で初めて訪れた出番だった。89分から出場した昨年11月12日のウルブス戦以来の実戦だったが、ネルソンは冷静に与えられた役割を実行している。

 その冷静さが際立ったのが、勝ち越しゴールを決めた場面だ。試合後のアーセナル公式サイトで語ったインタビューによると、本来ネルソンは利き足の右でシュートを放ちたかったそうだ。しかし、右足でシュートを打った場合、そのコースには相手DFがいたため、胸トラップをする直前にとっさの判断で、左足でシュートを打てる場所にボールをコントロールしようと決めたそうだ。

 久々の実戦でこの冷静な判断と、あのシュートを決めることができる選手は早々にいないだろう。今節でのトロサールの離脱は間違いなく大きな痛手だが、ネルソンの復帰はタイトル獲得を目指すクラブに大きなプラスをもたらしそうだ。

(文:安洋一郎)

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