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たった1ヶ月で変わった三笘薫のプレースタイル。包囲網をかいくぐる進化とは?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

ブライトン指揮官からの金言



 三笘の何が変わったのか。そのキッカケは前回のクリスタル・パレス戦だった。

 先述した通り、約1ヶ月前の2月11日に開催されたM23ダービーで、三笘はクリスタル・パレス相手に封じられていた。この次の試合となる2月18日のフラム戦の前日会見で、ロベルト・デ・ゼルビ監督は「1対1では、彼は世界最高の選手の一人だ」と三笘のドリブルを認めつつ、「もっとピッチの内側へと入って、もっとチームメイトと一緒にプレーしてほしい」と日本代表へと注文をつけたのだ。

 監督のこのコメントがあった翌日に行われたフラム戦で、三笘はスピードのある右SBケニー・テテに完封された。それまでどんな相手であろうが輝いていた日本代表FWだったが、対策をされたことで相手に封じられる機会が増えた。そしてここから指揮官に指摘された通り、プレースタイルと意識を変えていく。

 幸いにもフルアム戦の翌週の2月25日に予定されていたニューカッスル戦は、同クラブがカラバオ・カップ決勝のために延期に。過密日程になりがちなこの時期に珍しくトレーニングに専念できたことが、日本代表FWを好転させた。

 2月28日のストーク戦で巧みなオフザボールでアシストを記録すると、3月4日のウェストハム戦では1得点1アシストの大活躍を披露。今までは大外から縦への仕掛けが大半だったのが、ピッチ中央をドリブル突破する場面が見られるなど、新たな一面を見せていた。

 復活とも受け取れるこの得点関与増は、単にゴール前に入る機会が増えたからではない。自らの最大の武器であるドリブルに幅ができたことで、相手チームからすると、三笘を再び捕まえることが難しくなり、結果として得点に絡む機会が急増したのだ。

 そしてプレースタイルが変わるキッカケとなったM23ダービーから1ヶ月、三笘にリベンジのチャンスが訪れた。

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