フットボールチャンネル

前回は「完敗」。三笘薫はワン=ビサカにリベンジできたのか? 世界屈指の矛盾対決【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

もったいなかった三笘薫のプレー



 先述の通り、ワン=ビサカはあえて三笘に縦への突破を許している。そのため日本最強のドリブラーは比較的簡単にボックス内へ侵入することができたが、仕上げの部分でイングランド代表DFに怖さを与えることができなかった。

 左サイドを主戦場とする右利きの選手が縦に抜け出せば、当然ながら左足でのラストパスやクロスが基本となる。三笘はその左足の精度というところでワン=ビサカの想像を上回ることができなかった。キーパスは1本記録したが、それは右足で出したものであり、左足からのものはほとんどチャンスに繋がっていない。55分には縦突破から左足でニアサイドを狙ったが、大きく枠を外れている。

 そして58分には、ボックス内でワン=ビサカと1対1に。中のコースを封じられた三笘は縦からの左足シュートではなく、やや無理な体勢から右足でシュートを放ったが、やはりパワーを伝えきれず。弱々しいボールはGKダビド・デ・ヘアに難なくキャッチされてしまった。ワン=ビサカの中切りに手を焼いている象徴的なシーンだったと言っていいかもしれない。

 左足で1つでも違いを作り出せていればワン=ビサカの対応もより困難となっていただろう。それだけに、ややもったいない結果となっている。ワン=ビサカの守備対応はボックス内への侵入を簡単に許していたとの見方もできるが、最終的にはそれを徹底したことで、日本人ドリブラーのストロングポイントをうまく消していたことになる。

 ただ、三笘は課題を抱えてからそれを克服するまでが早い選手だ。ワン=ビサカとの次の対戦はおそらく来季になるが、その時はまた違った結果となるかもしれない。

(文:小澤祐作)

1 2 3 4

KANZENからのお知らせ

scroll top