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なぜマンCはインテルに勝てたのか? ルカクの怠慢で生まれた隙とは【欧州CL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 編集部 photo by Getty Images

インテルの守備に隙が生まれた理由



 それでも最終的にマンチェスター・シティはこの鉄壁の守備を崩す。そのキッカケとなったのが右CBで先発出場していたマヌエル・アカンジだ。

 直前のプレーでジョン・ストーンズが右サイドに張っていたこともあって前方にスペースが生まれ、スイス代表DFはドリブルで持ち運ぶことができた。このプレーに対してインテルの守備陣は中途半端な対応をしてしまう。

 結果的にこの試合で鉄壁を誇っていたアレッサンドロ・バストーニとフェデリコ・ディマルコの間にスルーパスを通され、このボールを受けたシウバがマイナスの折り返し。このクロスはアチェルビに当たったが、そのこぼれ球がフリーのロドリの前に転がり、完ぺきなコースにシュートを叩き込んだ。

 このアカンジの持ち運びが勝敗を分ける結果となったのだが、そもそもなぜ同選手にフリーでボールを運ばれてしまったのか。

 それはロメル・ルカクの守備の怠慢である。ツートップの相方であるラウタロ・マルティネスは中盤に降りて、ルカクのサイドまでボールホルダーのフォーデンにプレッシャーをかけた。このプレーの影響で、右サイドでボールを受けたアカンジがフリーの状況となってしまったのだ。

 本来であれば、フォーデンにプレッシャーをかけるべき選手はルカクだった。その直前もマンチェスター・シティはルカクのサイドで攻撃を行っており、コンパクトな陣形を保つためにラウタロ・マルティネス同様に自陣の深い位置まで下がって守備を行うことが理想だった。

 しかし、同選手は守備に戻らず、ルベン・ディアスの位置で待機。これがビハインドの状況でリスクをかけて前線に残るべき状況だった場合はこれでもよいかもしれないが、このときのスコアは0-0。一人だけ前線に残ったこの判断が仇となった。

 ルカクは71分に味方選手のシュートブロックや、88分の決定機も決めきれなかったことで、戦犯のような扱いを受けているが、その前の失点シーンでも悪目立ちをしてしまった。タラレバにはなってしまうが、この場合まで献身的なエディン・ジェコがピッチに立っていれば、試合結果は変わっていたかもしれない。

(文:安洋一郎)

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