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日本代表 7か月前

サッカー日本代表が作り上げた「対アジア」戦略。引いた相手をどう崩したのか?【西部の目】

シリーズ:西部の目 text by 西部謙司 photo by Getty Images

相手の守備ブロックに侵入した方法とは



 チュニジア代表は北アフリカらしくキープ力、局面の打開力があった。何度かはプレスを外して前進するが、そのたびに前記の4人を中心とする日本代表に迎撃される。結局、チュニジア代表のシュートは後半アディショナルタイムのヘディング1本だけだった。

 相手の封じ込めに成功し、あとはいかにブロックを崩して得点するか。カギは相手DFとMFの間の狭小スペースへの侵入だった。キーマンは久保建英。

 このポジションは守備では2トップ、攻撃では右インサイドハーフという位置取りが定型化していて、鎌田大地、堂安律、南野拓実と人は違っても動き方はほぼ同じ。ただ、今回は押し込んだことで久保の振る舞いは少し異なっていた。前半はパスを受けるスペースとタイミングをなかなか見つけられず、得意の右サイドへ開いたが、こちらは伊東純也を警戒する相手がもともと分厚く守っている。すると久保は左サイドへ移動し、中山雄太と旗手怜央を連結してチャンスを広げていった。

 やがて日本代表は狭いバイタルエリアへ次々と侵入する。MFをつり出して横パスでいなし、すかさず縦へ。久保、旗手、古橋亨梧が狭いはずのDFとMFの間へ潜り込む。こうなると得点は時間の問題。43分、バイタル侵入の久保→旗手、旗手は右サイドへ展開しようとしたが相手DFに当たって裏へこぼれ、古橋が素早く反応して抜け出してゴール。シュートも冷静だった。ラストパスが通ったわけではないが、その寸前までの崩しは出来ていた。

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