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リバプールが徹底していた狙いとは? 「引き分け狙い」のエバートンを撃破した名采配【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

勝利を引き寄せたクロップ監督の名采配



 これらの“狙い“に加えて、勝利に欠かせなかったのがクロップ監督の采配だ。

 特に重要な役割を果たしたのが、62分に左SBのコスタス・ツィミカス、66分にイブラヒマ・コナテを下げたことだ。

 肩の脱臼によって戦列を離れたアンドリュー・ロバートソンに代わって先発に抜擢されていたギリシャ代表DFだったが、守備時は後手に回ることが多く、フルタイム出場した選手を含めて最多となる3つのファウルを与えていた。

 接戦における不用意なファウルは相手に流れを渡しかねない。また、ディアス1人で左サイドは数的優位に立っていたこともあり、ほぼ敵陣に押し込み続けていた後半において、左SBの攻撃面でのタスクは少なかった。彼に代えてダルウィン・ヌニェスを加え、前線の枚数を増やした方が理にかなっていた。

 コナテを66分に下げたのも、相手に流れを渡さないためだ。このフランス代表DFは50分にイエローカードを貰っており、今季リーグ最多となる4人の退場者を出しているリバプールにおいて、彼を起用し続けて10人となるリスクは避けたかった。

 クロップ監督は試合後の会見で勝因の一つに「後半に得点がない状況でもイライラしなかったこと」を挙げている。仮に退場者を出してしまえば、チームに焦りが出る可能性もあった中で、「リスク」を回避する先手を打つ交代策は非常に有効だった。

 これまで交代策で批判を浴びることもあった指揮官だが、この試合ではチームを第6節以来の勝利に導く完璧な采配を下してみせた。ダービーでの勝利はチームの士気を上げる上でも重要となるだろう。

(文:安洋一郎)

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