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お騒がせGKの知られざる素顔。エミリアーノ・マルティネス、アルゼンチン代表GKの“愛”に溢れた生き方【コラム】

シリーズ:コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

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 アストン・ヴィラに所属するアルゼンチン代表GKエミリアーノ・マルティネスが、2023年の年間最優秀GKに贈られる『ヤシン・トロフィー』を受賞した。しかし、彼に対してはW杯後の騒動の影響で多くの人が好印象を持っていないだろう。だが、これらはほんの少しの一面に過ぎず、彼の素顔は愛に溢れた“最高の兄貴“なのだ。(文:安洋一郎)


『ヤシン・トロフィー』に輝いたエミリアーノ・マルティネス

【写真:Getty Images】

 10月30日にパリで開催されたバロンドールの授賞式で、アストン・ヴィラのアルゼンチン代表GKエミリアーノ・マルティネスが、世界年間最優秀GKに贈られる『ヤシン・トロフィー』を受賞した。

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 名誉ある賞に輝いた31歳の守護神だが、授賞式の際にもブーイングが飛び交う場面があるなど、一部からは批判的な声もあった。

 その理由の大半を占めているのが、昨年のカタールワールドカップ優勝後のパフォーマンスだ。大会最優秀GKに贈られるトロフィーを受け取ると、それを自らの股間に当てるパフォーマンスを披露。その後のロッカールームでのキリアン・エムバペに対する侮辱とも捉えられる行為、優勝パレードの際にエンバペ人形を手に取ったことなどで、相手に対するリスペクトがないとバッシングを受けた。

 マルティネスからすれば、エムバペがワールドカップの前に「ヨーロッパのチームはワールドカップに向けていい準備をしている、なぜなら彼らはいつもハイレベルな試合を戦っているからだ、一方でアルゼンチンやブラジルは同じ要求に直面していない」と発言し、先に煽られたことが頭に残っていたのかもしれない。優勝パレードでエムバペ人形を手に取ったのは、サポーターから数10体も近く投げられたものを拾ったところを切り抜かれた、「印象操作」に近いものがあり、彼が自ら持参をしたなどの事実は一切ない。

 だが、日本では彼のこうした愚行ばかり報じられるため、「問題児」と認識している人も多いのではないだろうか。

 これらの行動は決して褒められるべきものではないが、仲間からの評価は全くの別物だ。

 23年冬からアストン・ヴィラでチームメイトのアレックス・モレノは「彼はとてもいい人だ。僕が来てから、彼はいつもアドバイスをしてくれるよ」と発言。アーセナル時代の同僚であるガブリエウ・マルティネッリも「彼は何でも助けてくれる。これ以上の兄貴はいないよ」と感謝の言葉を述べている。

 相手に思い切り向かっていく性格で知られ、試合では興奮状態になる傾向があり、心理戦で優位に立つために煽る癖がある。しかし、これらはあくまでも対戦相手がいる状況での彼の一面だ。

 その“素顔“はピッチ上とは全く異なる。彼のパーソナルな部分を知らない人からすれば意外かもしれないが、実は愛に溢れた人物なのだ。

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