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アーセナルが生み出す“新しい攻撃”。トロサールだからこそ作れる好循環とは【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 竹内快 photo by Getty Images

主将不在で見せたアーセナルの“新しい戦い方”

アーセナル対バーンリー戦を指揮するミケル・アルテタ監督
【写真:Getty Images】


 試合を通して、[4-4-2]で守るバーンリーに対し、アーセナルが[3-2-2-3]の基本布陣でボールを保持する展開が続いた。しかし、この[3-2-2-3]はあくまで“基本布陣”である。この試合のアーセナルは、私たちに“新しい攻撃の形”を見せてくれた。

 それが、「インサイドハーフ(IH)の選手が常に高い位置を取り続ける」というものだ。ボールが入らなくても右IHカイ・ハフェルツ、左IHデクラン・ライスは高い位置をキープし続けようとする動きを見せていた。そのためボール保持時は、実質的にIHをフォワードの選手としてカウントする[3-2-5]といった感じだ。

ライスは攻守にわたって縦横無尽にピッチ上を駆け回っていたため、右サイドのほうがその“新しい攻撃の形”が顕著に現れていた印象だ。右WGブカヨ・サカが内側に入ると、ハフェルツは外側へ抜けて右WG化。通常通りサカがサイドでボールを持った時には、右サイドバック冨安健洋がIHの選手のようにサポートへ回り、ハフェルツはCFの選手のようにボックス内に陣取った。

 「今日はファイナルサードにおいて何度も攻撃し続けた。それが相手を本当に難しくさせた」(アーセナル公式サイトより引用)

 試合後にミケル・アルテタ監督はこう語っている。IHの選手がWGと流動的にポジションを交代しながら高い位置を取り続けることで、左右両サイドと中央の3方向から常にゴールを狙い続けることができた。試合中に記録した総シュート数16本(うち枠内6本)、コーナーキック数13回は、よりゴールに近い位置でトライし続けた成果だと考えることができる。

 そしてこの“新しい攻撃の形”でカギとなるのがレアンドロ・トロサールの存在だ。

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