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トッテナムで信頼を掴んだポステコグルー采配。英国でも変わらぬ決断力と試練【コラム後編】

シリーズ:コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

ポステコグルーに訪れたトッテナムでの最初の試練



 試合に負けたのにも関わらずサポーターが好意的なリアクションをみせたチェルシー戦だったが、この試合を皮切りにトッテナムに試練が訪れている。

 先述したハイラインのキーマンでもあるファン・デ・フェンと攻撃を牽引しているマディソンがこの試合で負傷。一発退場となったロメロは第12節から3試合の出場停止処分となった。

 そして迎えた第12節ウルブス戦は、4人のディフェンスラインのうち3人を入れ替えた守備陣が耐えきることができず、90分から2ゴールを奪われて逆転負け。この試合でイエローカードを受けたビスマは代表ウィーク明けに行われるアストン・ヴィラ戦を累積警告のために欠場を余儀なくされる。

 こうしたベストメンバーが揃わない状況でもポステコグルーは自らのフットボールを変えることはない。

 この“頑固さ”が彼の性格を表すには最適な言葉だろう。彼の戦い方は常に徹底している。9人でチェルシーと対戦をした際も自分たちのスタイルを変えることはなかった。これはサポーターからすれば、勇敢なものだったかもしれないが、冷静に考えると、この戦い方しか持ち合わせていないとも捉えることができる。

 今いる選手の特徴に合わせてチームを作るのではなく、自らのスタイルに合う最適な選手を選ぶ彼の戦い方では、主力不在時の戦力ダウンが著しい。特にCBの不在は大きく、ダイアーとベン・デイビスが控えCBのファーストチョイスである現状はかなり厳しいものがある。

 トッテナムは11月の代表ウィーク明けから5位アストン・ヴィラ、1位マンチェスター・シティ、9位ウェストハム、7位ニューカッスルと、トップハーフとの連戦が続く。年明けにはチーム得点王のソン・フンミンがアジアカップ、不動のダブルボランチであるビスマとサールがアフリカ・ネーションズカップ参加のために最大1ヶ月間チームを離れる。

 国際大会の影響は、離脱期間中はもちろん、大会後も疲労の影響が出る可能性がある。先述した通り、主力不在時の戦力ダウンが著しい現在のポステコグルーの戦い方では、年明けに移籍市場が開幕するとはいえ、1月末までに大きく順位を落としてしまう可能性もある。

 それでもオーストラリア人指揮官は自らのスタイルを変えることはないだろう。常に徹底している 彼の“頑固“な一面が良い方向に運ぶか、悪い方向に進んでしまうのか。

 国際大会が終わるまでの先の2ヶ月が重要となりそうだ。

(文:安洋一郎)

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【了】

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