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リバプールで遠藤航の信頼度が上がった根拠。移籍当初から何が変わったのか?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

クロップ監督の期待に応えた遠藤航のプレーと課題


 アディショナルタイムを含めて10分弱となったマンチェスター・シティ戦での出番だが、その中でクロップ監督から与えられた役割を実行したと思われる場面があった。

 それが90+3分のシーンだ。センターサークル付近でジェレミー・ドクがコーディ・ガクポからボールを奪い、カウンターに転じようとした場面で遠藤がタックル。ファウルの判定となり、イエローカードが提示をされたが、相手のチャンスの芽を潰したという意味では大きなプレーだった。

 この試合を通じて、リバプールは世界屈指のドリブラーであるドクに対してダブルチームでマッチアップするなど、かなりマークを強めて対応していた。それでもこのベルギー代表FWはデータサイト『Sofa Score』のスタッツ上では15回中12回のドリブルを成功させるなど、個人技でリバプールの守備陣を攻略していた。

 これだけチームとして警戒をしながら、突破される場面が多かったドクに対して、ファウル覚悟で潰し切ったのは良い判断だったと言えるのではないだろうか。空回りしてファウルすらできなかったリバプールデビュー当初と比較をすると、着実に成長をみせている。こうした積み重ねが信頼度を高めたのかもしれない。

 しかし、そもそもの話をすると、ガクポがドクにボールを奪われたのは、その前の遠藤のパスがオランダ代表FWの前に空いていたスペースではなく、足下に処理しづらいデコボコと弾んだ緩いパスを出したことが大いに影響している。

 この場面でガクポの前にスムーズなパスを出せていたら、また違った展開となっていただろう。細かいプレーではあるが、トップレベル同士の試合ではワンプレーが致命傷になり兼ねない。指揮官やチームメイトからの絶対的な信頼を得るためには、周りの選手がプレーしやすいような気遣いが必要だ。スタメン定着に向けてはさらなる成長が望まれる。

【了】

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