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久保建英 5か月前

【久保建英・分析コラム】11戦得点ゼロは不調の証なのか? レアル・ソシエダで課される超ハードなタスク

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

久保建英と連動しない味方



 久保がボールを持つと、やはりオサスナ守備陣は2人で囲んできた。それでも久保は卓越した技術を武器に打開することもあったが、撤退守備を敷く相手は中央に人が密集しており、その後がなかなか続かなかった。

 そんなオサスナの強固な守備をこじ開けるには前線の素早い連動が不可欠。しかし、ソシエダには肝心の“それ”が欠けていた。

 左WGのファーストチョイスであるバレネチェアは仕掛けて引きつけたところで久保に預けるプレーもできるが、彼の代役を務めたザハリャンは先述の通り機能しなかった。そのため、左で仕掛け、久保がゴール前に入り込んで仕事をする機会というものが、そもそも多くはなかった。

 そしてCFのウマル・サディクだ。彼は一瞬の爆発力があり、前節セビージャ戦同様、オサスナ戦でも強烈なミドルシュートを叩き込んでチームに勝ち点をもたらした。その一方で味方との連係プレーを得意としておらず、ボールを持っても顔が上がらないためフリーの味方を確認できず、収めたり散らす作業の精度は不安定。DFとの駆け引きなど、動き出しにも工夫がないため出し手との呼吸が合わない。オサスナ戦ではサディク1人で3度もオフサイドにかかっている。

 7分には、相手のバックパスが弱くなったところをサディクが拾い、GKと1対1の状況を作り出した。この時久保が斜めマイナス方向に入る良い動きを見せており、パスが出ればそのままゴールに流し込める状況を作ったが、サディクは自らシュートを選択。これはGKに弾かれ、こぼれ球をバレネチェアが外すなど、決定機を逃した。前節同様、サディクのエゴに泣かされた久保は両手を広げ、怒りを露わにしている。

 加入直後に怪我をし、これが実質ソシエダで過ごす最初のフルシーズンとなっているサディクは、まだチームプレーではなく、自らをアピールすることを優先している。それはWGやIHという質の高い選手たちと連動して攻撃を繰り出すソシエダ向きでないことは明らかだ。彼の先発が続くことは、久保の超ハードなミッションが続いていくことも意味するかもしれない。

(文:小澤祐作)

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