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サッカー日本代表には「4つの強みがある」。スペイン人指導者が「必要以上の高評価は危険」と警鐘を鳴らす理由とは

シリーズ:スペイン人指導者の視点 text by 川原宏樹 photo by Getty Images

サッカー日本代表の好調を支える3つのファクター

サッカー日本代表MF南野拓実
【写真:Getty Images】



「すべてのプレーがうまくつながっていたから、5得点というゴールに結びついたと帰結することもできますが、ポジショナルプレーの観点から見ても日本は素晴らしい展開を見せていました。

 ポジショナルプレーにおいては位置的優位性、数的優位性、質的優位性という3つのファクターが重要になります。どこにその優位性が生まれるかを探り、その優位性を利用して攻撃を仕掛けます。日本は1つ目のプレッシャーラインを越えて相手陣内へ入ったあと、2つ目の中盤のプレッシャーラインを越えるためにサイドへボールを運びます。そのときにサイドバックがオーバーラップしたり、中盤の選手がサポートしたりして数的優位な状況をつくり出してボールを前進させます。そこでボールを前進させられなかったとしても、相手の動きを見ながら数的優位な状況を生み出したところを突いていけます。

 しかも、ボールを前進させられるまでそれを継続的に繰り返せるのです。優位性を生み出せるのは1秒もない刹那のタイミングですが、横方向へボールを動かしながら相手をスライドさせて、見つけ出した刹那の隙や歪みを突ける判断スピードとプレーの正確性を併せ持つ選手が今の日本にはそろっています。このように多くの状況でその優位性を見つけ出して突くというプレーを実現できていた日本は、完璧といっていいほどのサッカーを展開していたように思います」

 ここまでの評価では非の打ちどころがないほど出来がよかったように感じる日本代表だが、アレックスは修正すべき点もあったと指摘する。

「特にシリア戦についてになりますが、序盤など時間帯によっては粗雑なプレーからボールを奪われるシーンが目立っていました。周囲の選手による危機管理や戦術的なファウルによって大半は防がれていましたが、自分たちが有利な状況であるにもかかわらず判断ミスによって相手にカウンターのチャンスを与えてしまいかねないプレーがいくつかありました」

 その原因を追究したところ、モチベーションが関係しているという。

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