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久保建英を下げたサッカー日本代表が失ったもの。スペイン人指導者がイラン戦を分析。右サイドに起きた問題とは【アジアカップ】

シリーズ:スペイン人指導者の視点 text by 川原宏樹 photo by Shinya Tanaka

サッカー日本代表の交代には「疑問を感じざるを得ません」


【写真:Getty Images】



 悪い展開の試合を好転させる方法のひとつとして、選手交代という采配がある。その交代策や選手起用について、普段のアレックスは語りたがらない。なぜなら、「コンディションなどの選手が持つ個々の事情は外部からは知りようがありません。それは内部の監督やスタッフが最も把握していることで、状態や事情を知り得ない外部の私には語るべき情報が少なく難しい」と理由を説明する。そのことから交代策に関する分析をできるだけ避けてきたアレックスだが、今回のイラン戦における交代策に関してはもの申すと語気を強めた。

「個人的な意見ですが、トーナメント制のような一発勝負、ひとつの試合で勝ち上がりと敗退が決する大事な大会での試合において、チームにとって最も重要な選手を代えるのは得策とは思えません。イラン戦では久保の交代です。その試合での彼はかなりいいパフォーマンスを見せていました。そもそも彼は、ピッチ上でアグレッシブかつエネルギッシュにチームメートを鼓舞して力を与えられる能力を持った選手だと思っています」

「交代出場した南野拓実や三笘も高い能力を持つ素晴らしい選手なのは間違いありませんが、淡々とタスクを遂行する仕事人タイプというか、職人気質のようなものが強く、勝利への情熱や願望を周囲の選手へ伝染させるような役割を担える選手ではないように見えます。負ければ後がない試合で同点に追いつかれた状況で、勝利へのモチベーションをチームメートに伝染させられる貴重な存在の選手を下げてしまったことへは疑問を感じざるを得ません」

 イラン戦では55分に同点に追いつかれた。仮にアレックスが監督だった場合に、交代策も含めどのような対応をするのか聞いてみた。

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