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【遠藤航・分析コラム】リバプールは何が変わったのか? 前後半で別人。遠藤を輝かせる“得意の形”とは

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

遠藤航の持ち味が後半に発揮された理由


 後半開始と同時にリバプールは、前半に膝を痛めた右SBのトレント・アレクサンダー=アーノルドに代わって、ハーヴェイ・エリオットを投入した。

 この交代策でリバプールはシステムを前半の[4-3-3]から[4-2-3-1]へと変更。エリオットをトップ下、アレクシス・マック・アリスターをダブルボランチの一角、カーティス・ジョーンズを右SBのポジションに移している。

 このシステム変更で勝負が決したと言っていいだろう。前半はバーンリーのプレスに苦しんだリバプールだったが、後半はマック・アリスターのポジションを下げることで最終ラインからのビルドアップの出口を増やすことに成功。トップ下のエリオットも効果的に下がってボールを受けることで、相手のプレスに対して局面ごとに数的優位を作り出した。

 これにより不用意なボールロストが減ったことで、前半にリバプールゴールを脅かしたバーンリーのカウンターは激減。遠藤が得意ではない後ろ向きの守備をしなければいけない場面が減り、ユルゲン・クロップ監督のチームらしい前線からの連動したプレスも復活。隣にマック・アリスターがいることで日本代表MFの守備範囲も狭まり、得意な制限が掛かった上での前向きの守備ができるようになった。

 その結果、遠藤はチーム最多タイとなる4つのタックルを成功させ、高い位置から攻撃の起点となった。先述した通り、52分の勝ち越しゴールの場面も遠藤が得意とする守備から生まれたものであり、勝利に直結する重要な役割を果たした。

 いかに遠藤のタスクをシンプルにして、彼の得意とする形に持っていけるかが重要だということが、この試合の前半と後半の比較で明らかとなった。

 思い返せば、遠藤が輝いた昨年末のマンチェスター・ユナイテッド戦とアーセナル戦のどちらも、高い位置で前向きの守備ができていた試合だった。バーンリー戦の後半は、この2試合と同じような形で前から相手に圧力を掛けてボールを奪えており、守備の型がハマれば随所に彼の強さであるデュエルが発揮されることが改めて証明された。

(文:安洋一郎)

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