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セリエA 2週間前

チアゴ・モッタだけじゃない。ボローニャ大躍進を支える1人の“老人”。ミラクルを起こし続ける男は何者なのか【コラム】

シリーズ:コラム text by 佐藤徳和 photo by Getty Images

2部→1部→CL権獲得。サルトーリがもたらしたミラクル



 SDは、サルトーリにとって、天命の職となる。ルイージから会長職を受け継いだ息子のルーカ、アルベルト・マレザーニ監督、サルトーリによる三頭政治が始まると、94/95シーズンにクラブ史上初のセリエB昇格を成し遂げる。2000年夏には、複数のクラブで4度の昇格を達成したルイージ・デルネーリを招へい。そして、01/02シーズンに悲願であったセリエA昇格をついに勝ち取る。

 ベローナの町外れの集落で、人口がわずか5000人の無名の町の快進撃に、人々は、キエーボのシンボルであるロバが空を翔んだと言い表し、その快挙を賛えた。まさに、ミラクル・キエーボであった。05/06シーズンは、カルチョ・スキャンダルによる余波で、4位と大躍進し、望外のCL出場権を獲得。ロバはさらに空高く飛翔した。

 サルトーリは、のちにセリエAを代表する選手に成長するセルジオ・ペリッシエール、シモーネ・ペッロッタ、アマウリらを発掘。15年に及ぶ在籍で、下部組織を含めて800人以上の移籍を成立し、また、14人もの指揮官を入れ替えながら、チームをセリエAに定着させた。01/02シーズンにセリエAに初昇格してから、退任する2014年までの間、セリエBに降格したのは1度で、翌年には返り咲いている。初めて務めたスポーツディレクターの職だったが、その能力の高さは絶大だった。

 2014年8月、サルトーリが選んだ次の挑戦の場は、故郷のローディから60キロのベルガモを本拠地とするアタランタだった。“育成のアタランタ”と呼ばれるほど、有望な若手を次々と輩出。もともと地力があったが、サルトーリによる適材適所の補強が功を奏し、黄金時代を築いた。

 だが、2016年夏に招へいしたジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督との相性は悪く、衝突が絶えなかった。サルトーリとガスペリーニの性格があまりに違い過ぎたからだ。前者は寡黙で、内気な性格。後者は気性が荒く、選手との対立もしばしば見られる。2021年冬の移籍市場でセビージャに移籍したアレハンドロ・ゴメスは、ガスペリーニと口論になり、チームを去っている。

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