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セリエA 2か月前

「プレーメーカーは必要不可欠ではない」欧州を制したガスペリーニの“3バック哲学”。お手本とした2人の監督とは?【コラム】

シリーズ:コラム text by 佐藤徳和 photo by Getty Images

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2023/24シーズンのUEFAヨーロッパリーグ(EL)を制したのは、アタランタだった。そんな同クラブを率いるジャン・ピエロ・ガスペリーニは、今や世界トップレベルの名将としてサッカー界を賑わせている。彼の代名詞といえば3バックの超攻撃的サッカーだが、その根源はどこにあるのか。影響を受けた人物と、3バックの哲学とは。(文:佐藤徳和)


レバークーゼンを圧倒してEL制覇

23/24シーズンのUEFAヨーロッパリーグ(EL)を制したアタランタ
【写真:Getty Images】

 アタランタの智将、ジャン・ピエロ・ガスペリーニが、無冠のキャリアについに終止符を打った。

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 5月22日、アイルランドのアビバ・スタジアムで行われたバイヤー・レバークーゼンとのUEFAヨーロッパリーグ(EL)決勝。戦前の予想は、ブンデスリーガで史上初めて公式戦51試合を無敗で駆け抜けたドイツ王者が優位との見方が強かった。さらに、その6日前、ローマで開催されたユベントスとのコッパ・イタリアで、優勢と言われながらも0-1と惜敗。コッパ・イタリアは、18/19シーズン(ラツィオ優勝)、20/21シーズン(同ユーベ)に続いて3度目の挑戦であったが、またしても、頂点に届かず。タイトルに縁がなかったガスペリーニは、やはり勝負弱いという印象が一層強まった。

 だが、レバークーゼン戦は終わってみれば、3-0の一方的な勝利。「デア(女神)」の愛称を持つアタランタに、まさしくその勝利の女神が微笑んだのだ。サッカーの神が憑依したようなアデモラ・ルックマンのトリプレッタもあって、ガスペリーニが統率するアタランタが欧州カップ戦の初の栄光に輝いた。

 ベスト16では、今季のプリメイラ・リーガを制したスポルティングCPを撃破。準々決勝では、難攻不落の要塞、アンフィールドで、約1年2か月もの間、無敗を誇っていたリバプールを3-0で破り、衝撃的な勝利を収めた。そして、セミファイナルではフランスの強豪、マルセイユも一蹴と、UEFAチャンピオンズリーグ(欧州CL)の常連を次々と打ち破っての戴冠であった。66歳と4か月という最高齢での優勝監督となった白髪の長は、試合後のインタビューで「このような忘れることのできないパフォーマンスで勝利することができて、とても嬉しく思う。一発勝負では、勝たなければならない。勝つための全ての条件が揃っていた。一抹の疑いもなく、勝利に値したと思う。EL制覇は我々にとってまさしく偉業。この権威あるタイトルを強く欲していた」と歓喜の声を挙げた。

 アタランタは、セリエAにおいて、選手の年俸を合わせた総年俸ランキングでは8位のクラブである。ガスペリーニが監督に就任する2016年夏以前は、セリエAとセリエBを行き来する、いわゆる「エレベータークラブ」の一つだった。それが、2016年以降は、欧州CL出場権を争うクラブとなり、欧州カップ戦の常連となった。地方都市の小クラブを率いて、ビッグクラブを震撼させるこのガスペリーニとは、一体何者なのか?

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