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Jリーグ 2か月前

どこまで許容するか? ガンバ大阪が作った宇佐美貴史が輝ける仕組みと、ポヤトス監督が吹かせる欧州の風【戦術分析コラム】

シリーズ:戦術分析コラム text by らいかーると photo by Getty Images

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 16位で終わった昨季から一転、ガンバ大阪は優勝争いに加わっている。ダニエル・ポヤトス監督が率いるチームに何が起きているのか。この2年の文脈と新戦力が加わったことによる変化に触れつつ、直近の戦いを分析して戦術的特徴を明らかにしていく。(文:らいかーると)

 

著者プロフィール:らいかーると

1982年、浦和出身。とあるサッカーチームの監督。サッカー戦術分析ブログ「サッカーの面白い戦術分析を心がけます」主宰。海外サッカー、Jリーグ、日本代表戦など幅広い試合を取り上げ、ユニークな語り口で試合を分析する人気ブロガー。著書に『アナリシス・アイ ~サッカーの面白い戦術分析の方法、教えます~』『森保JAPAN戦術レポート 大国撃破へのシナリオとベスト8の壁に挑んだ記録』がある。

残留争いから上位浮上。ポヤトス2年目のガンバ大阪

宇佐美貴史
【写真:Getty Images】

 残留争いに片足を突っ込むような生活が続いていたガンバ大阪。このままではあかん! とダニエル・ポヤトス監督の招聘により欧州の風を吹かせることで、波乱万丈のJリーグを乗り切ろうと画策をした。そんな思いとは裏腹に、昨シーズンのガンバは、降格チームが少ないレギュレーションに助けられた成績となった。

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 しかし、強い気持ちを持って、今季もポヤトス監督が続投。欧州の風を諦めない姿勢と、ポヤトス監督のサッカーを実現できるだろう新戦力を多数迎え入れ、現時点で5位の好成績となっている。8月シリーズの試合を中心に、ガンバの現在地について、みんなで考えていきたい。

 昨シーズンの終盤戦で、ガンバ大阪は[4-3-3]を基軸として試合を展開していた。ダワン、ネタ・ラヴィ、山本悠樹で構成される中盤の完成度は高かったと記憶している。特に山本の必要とされる場所にポジションを取る能力と、味方のために相手をひきつける立ち位置の見事さに感動したことを覚えている。

 そんな山本悠樹が移籍して、今季はどうなることかと誰もが思ったに違いない。しかし、見事に山本悠樹以上の存在感を見せた選手が鈴木徳真だった。なお、川崎フロンターレに移籍した山本悠樹は、ベンチとベンチ外を彷徨っている印象なので、数奇な運命となっている。

 一森純の復帰も大きなものとなった。横浜F・マリノスで自身の価値を示すことに成功した一森は、ガンバに復帰しても不動のスタメンとなっている。シュートストップというキーパーの本分が優れていることは言うまでもない。加えて、ビルドアップでセンターバックたちを助けられることが、ガンバのビルドアップにとって大きなものとなった。

 センターバックのボール保持の逃げ場として、一森が高い位置でビルドアップに関われることで、センターバックが広がってプレーすることが可能となる。ガンバのボール保持において、この部分の改善が非常に大きなものとなった。

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