海外サッカーで活躍したいと思うなら…。ドイツで評価された日本人若手DFの能力
ちなみに、練習参加した日本人の若手DFの評価は上々で、まず褒められたのはコミュニケーション能力で、チームに溶け込もうとする姿勢でした。これは男女関係なくドイツの全クラブが気にする部分です。国際的な社会になったとはいえ、依然日本は遠い国です。異なる言語、文化、容姿の人間がどういうものなのか、ドイツではなくとも懸念するのは当たり前でしょう。
この若手DFと同時期に日本人の女子選手も違うクラブで練習参加しました。彼女は米国の大学でプレー経験があり英語は堪能。若手DFも将来的には海外でのプレーを希望しており、日常から英語のマンツーマンレッスンを受けています。
言語ができて損をすることはありません。今後、海外でサッカーをしたいと考えているなら、語学の準備をすべきでしょう。ただ、言葉ができたとしてもチームメイト、コーチングスタッフなどと向き合うオープンマインドが重要で、これがなければせっかくの言語能力も台無しになります。海外でスムーズに自身のパフォーマンスを発揮したいならば、「言語+オープンマインド」のセットを忘れずに……。
この若手DFのポジティブな評価は人間性だけではなく、プレー面でもありました。それは日本人らしい技術に加えて、身体能力の高さでした。
ドイツの「BoS」(Das Ballorientierte Spiel:ダス・バルオリエンティールテ・シュピール:ボールにオリエンテーションするプレー、図1)的なゴールに向かうサッカーではDFラインのアップ、ハイラインは必須です。なぜなら11人全員が機能的にゴールを目指すからです。もちろん背後を突かれるときがあります。そのときに彼の爆発的なスピードと対人の強さが発揮されました。このダイナミックでスピーディーかつ行き来の激しいサッカーが彼のポテンシャルを引き出したとも言えます。
Jリーグでもそれなりの評価をされていますが、個人的にはそのパッシブ(受動的)なサッカーでは大柄な身体を持て余しているように感じます。彼以外でも海外でより評価され、能力が開花できる可能性がある日本人選手はいると考えています。その代表例が伊藤洋輝選手(バイエルン・ミュンヘン)ではないでしょうか。
もうひとつサッカーの違いを象徴する話があります。若くしてヨーロッパでキャリアを歩み始め、最近Jリーグに活躍の場を移した選手と久しぶりに話す機会がありました。日本と海外のサッカーの違いについて、「やはりそう感じるのか……」と考えさせられる具体的な例がありました。