勝っているときの戦い方が「定まっていない」
「リードしている時に押し込まれてしまうのは、前回(愛媛戦)もそうですし、その前の藤枝(MYFC)戦もそうでした。勝っているときの戦い方が自分たちのもとで今、定まっていないところがある。そこはみんなで共通意識を持たないといけない。スタッフを含めてコミュニケーションを取りながらやっていきたいと思います」
榊原は昨季AFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝を戦った名門クラブから来た選手。その基準で見れば、選手個々がリーダーシップを高め、もっと話し合っていくことが重要。彼はそのことをよく分かっているはずだ。
実際、本人もこう語気を強めていた。
「上のカテゴリーに行けば行くほど、みんなコミュニケーションを取りますし、意見を言い合いますし、できていないところは厳しく言う環境があると思う。マリノスの時は選手だけで話し合ったりしていましたし、選手が主体になってやっていたので、このクラブもそうしていかなければいけないですね」
マリノス時代、つねに話し合いの中心にいたのは、キャプテン・喜田拓也だった。同じアカデミー出身の榊原は、その圧倒的な統率力を羨望の眼差しで見続けていたに違いない。「自分にとっての一番のリーダーはやっぱり喜田君です」としみじみ言う。
「いるだけで空気が締まりますし、尊敬する選手の1人なので。自分もそういった存在になれるように頑張りたいなと思います」と背番号25は悔しい大宮戦のドローを踏まえ、自分を変えていく決意を固めたという。
幸いにして、大分には清武という百戦錬磨のベテランがいる。彼とはピッチ上で担う役割も近く、プレースタイルも似ている。若い頃の清武もシャイで、積極的に周りに働きかけるタイプではなかったが、ドイツやスペイン、日本代表での数々の経験を糧に落ち着きある選手になった。その先輩が身近にいてサポートしてくれるのだから、榊原にとっては最高の環境なのだ。
「キヨ君も沢山コミュニケーションを取ってくれますし、『自分が中心となってやっていい』と言ってくれる。僕自身も殻を破らなきゃいけないと思ってます」
その言葉通り、榊原が発信力や統率力を備えた選手に変貌を遂げられれば、大分もよりタフな集団になれるはず。9位という位置から昇格争いのできる上位へと浮上するためにも、背番号25の一挙手一投足に託される部分は少なくない。さらなる成長を強く求めたいものである。
(取材・文:元川悦子)
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