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Jリーグ 8か月前

浦和レッズは何を変えたのか【1】松尾佑介と渡邊凌磨は慎重に見極める。不安定さを解消したのは…【戦術分析コラム】

シリーズ:戦術分析コラム text by らいかーると photo by Getty Images

不安定だったプレッシングをどう改善したのか?

 ゴールキーパーを使ったビルドアップが一般化していくなかで、「あらゆる状況に対応策を準備するよりは、もうマンマークで対応しようぜ!」が、対ビルドアップの王道になりつつある。

 しかし、[4-4-2]にこだわりのあるスコルジャはなかなか自分たちの形を固定的に変化させることは好まない。そのために1列目のハードワークが基本となるのだが、だからといってどこからどこまで追いかけ回すのかが試合によって曖昧になってしまったことも相まって、浦和のプレッシングは不安定なものとなってしまっていた。

 サンタナの離脱を受けて、1列目のスタメンは松尾佑介と渡邊となった。セットプレーの高さ要員として多大な貢献をしていたサンタナの高さの補完役としてサミュエル・グスタフソンが選ばれ、渡邊を優先するために松本がスタメンから外れる流れとなっている。松尾と渡邊はハードワークを厭わずに物理的な速さも兼ね備えているコンビとなった。1列目のハードワークが全てを解決したかというと、そんなことはなかった。

 1列目のスタメンが変更するタイミングで、浦和はハイプレッシングを我慢する場面が増えていった。松尾と渡邊はミドルとハイを行ったり来たりしつつも、ボールを奪いに行く場面を慎重に見極めるようになっていく。まるで、背中にいる相手のセントラルハーフを優先しているようだった。

 背中で相手のセントラルハーフを管理し、手前にいるセンターバックを牽制しながらプレッシングのスイッチを入れるタイミングを間違わないことで、浦和のボール非保持の状況は改善されていった。

 ちなみに横浜F・マリノス戦の前半、スタミナが残っていた30分まで浦和はハイプレッシングにチャレンジしていた。しかし、浦和のセントラルハーフは両方が前に出ていくことが好ましいとは考えていないようで、マリノスがプレッシング回避に繋げる場面が多数だった。

 なお、30分以降に1列目がブロックに移行すると、途端にマリノスが選択肢の少なさに苦戦するようになったことは、どこまでどこから相手にプレッシングをかけるかの困難さを象徴している試合の流れとなる。

(文:らいかーると)

 
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【了】

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