新たな空中戦の的は…。グスタフソンの稀有な能力
困ったときのロングボールの的として、今季のチアゴ・サンタナは悪くない優位性を示していた。酒井宏樹の移籍から浦和にのしかかって来た空中戦の的問題への解答が、サヴィオと金子になるとは想像していなかったことを白状したい。
松尾と渡邊に蹴っ飛ばしてもあまり優位性はないので、蹴っ飛ばす先は相手のサイドバックと競り合うことになるサイドハーフとなった。金子が想像以上の強さを見せ、サヴィオは計算通りの優位性を運んでくることになる。
空中戦の的を手に入れた浦和は、相手の裏に走ることもあれば空中戦の的に放り込むこともある。そんなロングボール大作戦に添える形になるのがグスタフソンだ。
1人だけ時が止まっているかのようなプレーをするグスタフソンは盤面がぐちゃぐちゃでも味方に時間とスペースを配ることができる稀有な選手である。特にボールを奪い切る場面が増えたグスタフソンを起点とするカウンターの切れ味はえぐい。ボール保持を優先する場面、相手を崩しにかかる場面との判断も秀逸で、ロングボール戦術に紛れてときどき発揮されるグスタフソンからの啓示は相手からすれば厄介極まりないだろう。
3連勝は全てセットプレーで先制し、ブロック守備をしていても問題がない状況であった。自分たちが負けている状況ではボール保持からの攻撃が中心となっていくのだろう。内側でも外側でもプレーできるサイドバックの台頭によって、サイド攻撃に厚みができていきた。グスタフソンの啓示によって、周りの選手は時間とスペースを手に入れるようになってきた。
一方で、これまでの試合で行ってきた3人目がポケットに突撃する場面や、サイドからコンビネーションで崩すような場面は減ってきているのも事実であるし、試合展開的に必要とされなかったということも事実だろう。