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Jリーグ 7か月前

ファジアーノ岡山は「変化を恐れてはいけない」。立田悠悟は工藤孝太の背中を押した「もっとやれるだろ、俺たちは」【コラム】

シリーズ:コラム text by 難波拓未 photo by Getty Images

燃え続けた立田悠悟の闘志「もっとやれるだろ、俺たちは」

 スタジアムが黄色で揺れる中、立田の闘志は燃え続けていた。顔を下げることなく、左手を前に強く振ってチームに反撃を呼びかける。さらに、悲壮感が漂っていた工藤の背中を強引に押した。

 「鼓舞の意味もあるし、自分を含めて『もっとやれるだろう』と。『もっとやれるだろ、俺たちは』という気持ちだった」

 その4分後、工藤は相手陣内での激しいチャージで渡井理己からボールを強奪。立田の反骨心が、今季J1デビューの21歳のメンタルを回復させたことを感じる場面だった。

 背番号2から背番号15に伝播したようにチーム全体で反骨心を結集させ、敵地から勝ち点1を持ち帰った第12節アビスパ福岡戦のようにまずは同点ゴールを奪うことから目指した。

 途中出場の岩渕弘人と神谷優太を中心にパスを繋いで前進し、前線に入った一美和成とブラウンノア賢信がシュートチャンスの創出に奮起。86分には藤田息吹の縦パスをブラウンが落とし、一美が左足を振り抜くも、シュートは小島のビッグセーブに防がれた。

 全体を押し上げて前掛かりになり全員で攻勢を強め続けた中、89分にCKの流れからカウンターを受ける。ハーフウェイライン付近でフリーの渡井にボールが渡った。迎撃できるのは、後ろに残っていた立田のみ。

 スベンド・ブローダーセンが守るゴールまで50m近くあったものの、ここを突破されればGKとの1対の状況をつくられ、失点の可能性が大きく広がってしまう。緊張感のある対応だったが、立田は非常に冷静だった。

 間合いを調整して渡井のスピードを吸収し、細かなクロスステップで自身の右側に誘導。ドリブルがやや大きくなった瞬間を見逃さずに右足でボールを突き、1人でカウンターアタックを食い止めてみせた。

 立田の奮闘もあり最小失点に留めて勝ち点への希望を残し続けたが、90分に万事休す。前傾姿勢の穴を突かれ、カウンターで2失点目を喫した。

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