FC町田ゼルビアらしさが出せていない。「僕の存在意義がないに等しい」

「（守備時に）5バックになると考えたらスライドはいらないけど、僕たちは3バックのままでやっている感覚があるので。そして僕がボールを奪い、攻撃に転じられるときには、幸多郎の運動量が一番生きる。あの位置までウイングバックが攻めていけるのは、チームにとってもかなりの強みになっていると思う」

　林との約束をあらためて思い出した昌子が、17日の柏戦で強く意識して実践し続けたのにはもちろん理由がある。前節までの7試合で1勝1分5敗と黒星が大きく先行。J1の舞台に挑んで2シーズン目で、最大の正念場を迎えているとわかっていたからこそ、町田の“らしさ”をピッチ上で具現化させたかった。

　特に2度奪ったリードを守れず、2-2で引き分けた清水エスパルスとの前節。自らがマークしていたドウグラス・タンキに2失点目を決められた昌子は、こんな言葉を残していた。

「チームを勝たせられないキャプテンは必要ない。このままでは僕の存在意義がないに等しい」

　キャンプ終盤に実施されるチーム内投票で、キャプテンに選出されて2シーズン目。黒田剛監督以下のコーチングスタッフ、そして選手たちから全幅の信頼を寄せられているからこそ自らに喝を入れた。

　町田は原則として毎週水曜日に練習をファン・サポーターへ向けて公開して、終了後にはファンサービスを実施する。清水戦から3日後の14日。練習を終えてクラブハウスへ引きあげる選手たちが、ファン・サポーターとハイタッチを交わしていくなかで、昌子の心を揺さぶるできごとがあった。