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Jリーグ 7か月前

キャプテンはどうあるべきか。FC町田ゼルビア昌子源はファンからの言葉に救われた。導いた答えは「自分の存在を…」【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「自分の存在を…」。固まった昌子の決意

「そのときに手紙を2通いただいて。そのように見てくれるんだと、(心に)すごくグッとくるありがたい内容でした。その手紙はいま、クラブに大事にしまってあります」

 私信ゆえにもちろん詳細な内容は明かせない。それでも昌子が「僕がキャプテンに向いていないと、自分を責めたようにとらえられたのかもしれない…」と明かしたように、自らを鼓舞した清水戦後のコメントを見聞きした2人の女性ファンが、昌子を励まそうとして文字をしたためのかもしれない。

 ファン・サポーターの方々も、一緒に戦ってくれている。昌子の決意と覚悟はさらに高まった。

「本当に応えないといけない、という思いがありました。周りに言っていたわけじゃないけど、自分の存在を前面に押し出して、絶対にチームを助けないといけないと自分のなかで思っていました」

 いつものように左腕に赤い腕章を巻いて、柏戦に臨む前に黒田監督から厳命を言い渡された。キックオフ前のミーティング。指揮官から「源、日頃の行いだぞ」という言葉を介して託されたのは、キャプテン同士によるコイントスで勝って、メインスタンドから見て右側へ攻めるエンドを取る仕事だった。

 ホームの町田GIONスタジアムで戦う場合、町田はこれまで前半をメインスタンドから見て左側へ攻めるエンドを取ってきた。しかし、柏戦では前夜から激しく降り続いた雨の影響で、特にピッチの右半分にはいくつもの水溜まりが生まれ、転がるはずのボールが止まる状況が生まれていた。

 前節まで4連勝をマーク。通算でも6勝5分と11戦連続無敗を続け、2位につけていた柏は今シーズンから指揮を執るスペイン出身のリカルド・ロドリゲス監督のもとで、自陣から細かいパスワークを駆使してくる。地上戦を封じ込めるには水が溜まり、パスをつなぎにくいエンドから攻めさせたほうがいい。

 黒田監督が戦い方に関して細かく指示を出したミーティングを、昌子が苦笑しながら明かす。

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