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Jリーグ 6か月前

「まだ先は長い」。ヴィッセル神戸の成功は井手口陽介の進化次第。求められる“山口蛍化”【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

「押し込まれる時間も長かったですけど…」真骨頂を見せた井手口陽介

 この日は季節外れの冷たい雨と強風に見舞われ、環境的にかなり過酷だったが、神戸としてはむしろ自分たちのスタイルである堅守速攻を出しやすい。実際、最前線の佐々木をターゲットに長いボールを蹴り出し、攻撃面で主導権を握った。そして開始18分に左CKの流れからマテウス・トゥーレルが先制弾をゲット。幸先のいいスタートを切ったのである。

 だが、先制点から8分後に柏の右CB原田亘にスルスルとハーフスペースを攻略されて同点弾を決められ、試合は振り出しに戻る。この展開には多少の苛立ちもあっただろうが、焦れることなく戦い続け、前半終了間際に扇原が直接FK弾を叩き込むことに成功。2−1で折り返すことになった。

 このリードを守るべく、後半に挑んだが、ギアを上げてきた柏にかなり押し込まれてしまう。扇原とともに中盤を支えていた井手口陽介が「後半は向かい風だったし、押し込まれる時間も長かったですけど、チームとしてしっかり戦おうと話していた」と強調したように、神戸の面々は集中力を切らすことなくゲームを運んでいった。

 迎えた後半アディショナルタイム。背番号「7」の真骨頂のプレーが飛び出す。相手が右サイドから苦し紛れに出したパスを中盤で巧みにカット。それを前に走っていた佐々木につなぎ、背番号「13」は相手DFの位置をしっかりと見ながらループシュートをお見舞い。3−1にリードを広げ、勝負を決めたのである。

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