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Jリーグ 6か月前

原口元気のアドバイスを石原広教は実践してモノにする。「見られ方も変わる」浦和レッズで最大級の評価を得るまで【コラム】

シリーズ:コラム text by 菊地正典 photo by Getty Images

「見られ方も変わってくる」世界の舞台で石原広教は何ができるか

 それからさらに20日が経ち、横浜FC戦のアシストの場面では4人がゴール前に飛び込んでいた。チームメイトの信頼の証でもあるだろう。

「回数も増えていると思いますし、毎回いいところに上げられているのもあります。みんなから『上げていいよ』と言ってくれているところもあるので、みんな入ってきてくれています」

 横浜FC戦で2ゴールを挙げたグスタフソンに引けを取らない活躍を見せた石原は、ヒーローインタビューを受けた。

 優位に試合を進めながら前半に先制を許して苦しい展開になったことを謝罪し、それでも声援を送ってくれたサポーターに感謝したあと、最後にFCWCの意気込みを聞かれる。

「結果を残して帰ってきます」

 極めてシンプルながら、意気込みがはっきりと伝わる言葉に埼玉スタジアムは沸いた。

 得点シーンや戦う気持ちを前面に出したプレーと変わらない歓声から感じられたのは、石原に対するサポーターの信頼、愛だ。石原は浦和サポーターの心をつかんでいる。

「最近はそういう声もありますし、期待には応えなければいけないと思います」

 石原も自覚している。

 だが、現状に慢心や油断はない。悪いときも腐らず、良いときもおごらず、普段から「うまくいかなくなるときは調子に乗るとき」と留意しているからだ。

「これからは見られ方も変わってくると思います。やり続けることに慣れてくると思うので、プラスアルファで数字は落とさないようにしなければいけないと思います。これからクラブワールドカップが始まりますけど、世界の相手に対してやり続ける、やれる姿を見せることが本当に必要なことだと思います」

 世界の舞台ではチームとして技術面で相手に凌駕されることもあるだろう。それでも、ときに気持ちは技術を上回る。

 右肩上がりの成長曲線を描きながら気持ちを前面に出せる石原は、FCWCにおいてもキーマンの一人になるに違いない。

(取材・文:菊地正典)

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【了】

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