スコルジャ監督のアイデアはどう作用したか?
サヴィオが自由に動くことに他の選手が合わせる場面が増え、相手の目先を変えることはできたが自分たちも整わない時間が増えた。松尾がサイドにいるまま相手ボールになった時にはブロックの強度が上がったが、攻撃時の流動性が高まったことで守備に切り替わった瞬間に自身がどの役割を果たすのかに戸惑いが見える局面も出た。
5月後半からの5連戦にかけては、攻撃面ではクロスからのゴールが増えたことが特筆すべきことだろう。どちらかと言えばキッカーよりも中央に入ってくる選手の意識変化が大きく見え、石原広教や金子拓郎はシーズン序盤から良いクロスを上げていただけに、彼らの精度が高まったというよりも、ゴール前の良い位置に選手が入ってくるようになったことに変化を見出すのが正しいのではないか。
いわゆる「ポケット」と言われるようなハーフスペース奥を取りにいく選手がいることで、そこの攻略をした場合だけではなく、おとりになることでキッカーが良い形でクロスを入れられる場面も増えた。
一方で、この時期は中島翔哉、髙橋利樹、井上黎生人、原口元気といった出場機会の少なかった選手たちをスタメン起用した。固定化された選手層の部分に働きかける形になったが、結果的にこうした起用に出た川崎フロンターレ戦と名古屋グランパス戦は1分1敗に終わってしまう。