「それがわかるのはまたこれから」
「まったくないですね。それはまったくないです、はい」
即座に否定した藤尾は、ゴールの空白期間は実力不足に起因していたと自らを責めている。
「決め切れるチャンスで決められないと、流れというものは止まってしまう。チャンスはあったので、そこは自分の課題でもあったので、今シーズンは再びそれにチャレンジしようと思ってきました」
気持ちも新たに迎えた今シーズン。システム変更もあり、最前線で先発するチャンスが激減した。ならば、1トップで72分までプレーした湘南戦で、シャドーやWBの経験が役に立っているのか。
「何かほしいところではあると思うんですけど、それがわかるのはまたこれからになるかな、と」
現時点ではわからないと苦笑した藤尾は、湘南戦をリザーブのまま終えたオ・セフン、力を出し尽くしてお役御免となった自身と72分に代わったデュークとのポジション争いへ気持ちを新たにする。
「ここからポジションを獲得していくには、やはり結果を残し続けるしかないので。しっかりと(周囲の)信頼を得て、(2人から)吸収できるところは吸収して、自分の成長につなげていきたい」
天皇杯で自らの力でチャンスを手繰り寄せた藤尾は、昨夏からはまり込んでいた長いトンネルをようやく抜け出した。節目のリーグ戦通算10ゴール目とともに、身長184cm体重79kgのサイズに攻守両面でチームを助ける走力、そして勝利への執念を搭載するパリ五輪代表ストライカーが反撃の狼煙をあげた。
(取材・文:藤江直人)
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