再三のピンチを川島永嗣が救うも…
20分にCKから元磐田のDF袴田裕太郎のヘディングシュートが、ワンバウンドでわずか上に外れるシュートのシーンでも、川島が指先で触るか触らないかのところで反応していた。49分には熊本が押し込んだところから、10番の古長谷千博が右足で放ったミドルシュートを横っとびで弾き返してコーナーに逃れた。
磐田のフィニッシュも23歳のGK佐藤史騎に阻まれるシーンはあったが、ほぼ熊本ペースという状況が大きく変わらない流れの中で、61分、自陣でのボールロストを突かれる形から、17歳の神代慶人にここ5試合で4得点目となる見事な先制点を決められる。
磐田としてはちょうど、トップ下の角昂志郎をFWマテウス・ペイショットに代えて、なんとか攻撃のギアを上げようとしていた矢先の失点だった。
このシーンを切り取れば、右サイドバックの為田大貴からパスを受けたボランチの金子大毅が、中に切り返そうとしたところを藤井皓也に詰められてボールを失い、拾った神代にペナルティエリア内の中央で前を向かれるという分かりやすいミスだったが、周囲のサポート含めて全体の距離感も悪く、ボールホルダーがプレッシャーをかけられやすくなっていたことも事実だ。
3-3-1-3という特殊なシステムをベースに、前から人にはめてくる熊本の守備スタイルは「相手のプレスを引きつけ突破し、相手コートでプレーしようと言っていました」と語るハッチンソン監督はもちろん、磐田の選手たちも分かっていた中で、その守備を上回る形で、ボールを前に運んでいくことがなかなかできなかった。
75分に喫した二つ目の失点は右センターバックのヤン・ファンデンベルフから横パスを中央で受けたリカルド・グラッサのコントロールが大きくなったところを塩浜遼に奪われて、25メートルはあろうかという位置から今シーズンの9点目となるゴールを決められた。
もちろん直接ミスで2つの失点を招いた金子やグラッサの責任に言及することはできるが、それだけでは熊本戦にあった磐田の本質的な問題が見えてこない。