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Jリーグ 5か月前

現状では弱点。清水エスパルスの設計は少し“いびつ”だ。どうしたら破壊力を発揮できるか?【戦術分析コラム】

シリーズ:戦術分析コラム text by らいかーると photo by Getty Images

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 3年ぶりに昇格した明治安田J1リーグで15位につける清水エスパルス。守備陣の怪我人続出で従来の4バックから3バックに変容している清水だが、前節のFC町田ゼルビア戦では新システムを試した。分析すると、個々のスキルの高さとは対照的に戦術的な設計の歪さが見えてくる。(文・らいかーると)

清水エスパルスの設計は少し歪なところがある

清水エスパルス

【写真:Getty Images】

 ファジアーノ岡山の次のお題は清水エスパルスだ。両チームともに昇格組のなかでは、残留が現実的に可能な目標になってきている。同じ昇格組の横浜FCが降格圏内に位置しているのに対して、岡山と清水は中位で踏みとどまっている。

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 岡山が現実的な姿勢から徐々に戦術の幅を手に入れている姿勢に対して、清水は対象的な道を歩んでいる。まるで浪漫の塊のようなサッカーでJ1に臨んでいるのだ。この姿勢をいったい誰が計画し、誰が望んでいるのかは非常に興味深い。そんな清水の浪漫について、今回は考えていきたい。

 6月から7月の試合で清水は3バックで試合に臨んだ。以前は4バックを基本としていたが、サイドバック(SB)の怪我人続出と失点が多いことから3バックに舵を取った可能性が高い。

 ボール非保持では5バックになる段取りのなかで、カピシャーバが左ウイングバック(WB)として労を惜しまないプレーを披露している。一方で、ボール保持では空中戦とサイドからの優位性を相手に押し付けることができるカピシャーバを最終ラインまで下ろすことの妥当性はあるのか? と考えたくなる案件だ。

 Jリーグの多くのチームが【3-2-5】系統を採用していくなかで、WBのキャラをどのように設定するかは、チームの個性が出るところだろう。WBのポジションを本職がSBの選手にするのか、ウイング(WG)の選手にするのか。それとも偽SBなどの可変式を利用して、WGの選手に最終ラインまで下がらなくてもいい設計にするのかと色々な選択肢がある。

 怪我人が多い清水は、森保一監督に率いられたサッカー日本代表のようにWGの選手にWBをやってもらう形に落ち着いている。なお、右サイドは本職ではない山原怜音や、特別指定選手で現役大学生の日高華杜が務めているので、こちらはこちらで大変な状況だ。

 空中戦の的でもあるカピシャーバが最終ラインまで下がって守備をしなければいけないような非効率が象徴するように、清水の設計は少し歪なところがある。

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