見るべきはボール支配率よりパス成功率
例えば、清水のボール保持率とパス成功率は高い。柏レイソルのボール保持に振り回された試合でもボール保持率が47%でありながら、パス成功率は85%を超えている。チームの特性をみるときに大切なデータはボール保持率よりもパス成功率だ。ボール保持率が低くても自分たちがボールを保持する時間を作れるチームはパスの成功率が自然と高くなるからだ。
そんなボールを持つこともできる清水だが、空中戦の的が少ない。現代サッカーにおいて、相手のビルドアップにマンマークで対応する策は、Jリーグでもスタンダードになってきている。同数なら蹴っ飛ばすことがサッカーのセオリーだが、蹴っ飛ばしてもマイボールになる気配がないならば、同数でも繋いだほうがましと考えるべきだろう。
しかし、清水はゴールキックを蹴っ飛ばすことが多い。なお、疲労困憊になるカピシャーバが必ずしも勝てるわけでなく、北川航也が代わりに空中戦の的として奮闘することもある。しかし、北川も空中戦で飯を食っているわけではないため、相手ボールになってしまうことが多いのだ。
この巡り合わせはボール保持を特徴とするチームにとってはかなり痛い。ゴールキックでのプレーの再開や、ハイプレッシングに対して、ロングボールでの回避へ誘導されることで相手の思うつぼになってしまいがちだからだ。
つまり、ボール保持を活かすためにゴールキーパーを起点とするショートパスを主体とするビルドアップと、相手のハイプレッシングにどのように向き合うかを改善することができれば、自分たちのやりたいサッカーをもっと披露することができるようになるのではないだろうか。
余談だが、空中戦の的がいない問題はセットプレーの弱さにも繋がってきてしまう。なんだかんだで身長は大事だというお話。それでもサイズがあるわけもない選手たちで試合に臨むことは浪漫ではあるのだけど。