小池龍太の行動が引き金となり、選手たちに伝播していく
「正直、まだ完璧じゃないけど、今日は勝ったというところから、自分の見えてくる課題を1つ1つクリアにしていきたい」
ピッチに立てば、ただひたすらに目の前の勝利に向かって全身全霊をかける。常に見方をサポートし続け、ときには囮になってスプリントし、ときには味方が空けたスペースを埋めるために奔走する。チームのためにこれだけ働ける選手はJリーグを見渡してもそこまで多くない。
2点を先行しながらも、柏の反撃を受けて再び振り出しに戻された。普通なら勢いに飲まれてもおかしくない流れの中で、鹿島は再び勝ち越しゴールを奪って勝点3をもぎ取った。
「一方的な試合にはなりにくい。今週は、誰が出てもこの1試合に懸ける思いを表現しようとやってきた一進一退の状況でしたけど、途中出場で入ってきたマツ(松村優太)が最後に決めてくれた」
この試合で浮き彫りになったのは、小池を筆頭に、全員が守備や球際、献身的な動きに手を抜かず、1プレー1プレーに全力を注ぐ鹿島の一体感だ。小池の行動が引き金となり、先発で出ている11人から、サポーターの声援を媒介に途中出場した選手へと伝わっていく。そのバトンを受けた松村が最後は試合を決めた。
「内容はもっと磨かないといけないし、上回られた部分もありますけど、いい結果とともに勝って修正できるということで、次に進めるんじゃないかと思います」
試合中盤の50分には、柏の中川敦瑛との接触で左足に体重がかかり、ヒヤリとする場面があった。しかし、小池は逃げなかった。「ああいうところで逃げてたら試合の流れが変わっちゃう」と言う小池の左膝にはアイシングの氷が巻かれていた。