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Jリーグ 5か月前

「気持ちっす」落ち込み、萎縮していた井上健太が横浜F・マリノスのトップ下で輝いた。「めちゃくちゃきつかった」【コラム】

シリーズ:コラム text by 菊地正典 photo by Getty Images

「それをやらなければ出る意味はない」井上健太の与えられたタスク以上の働き

「背後へのランニングが自分の良さだし、それをやらなければ出る意味はないと思っていました」

 この日の日産スタジアムは、夜といえどもスタンドで試合を見ているだけでもじんわりと汗をかくほど暑かった。走る選手にとっては過酷な環境である。

「思ったよりも暑くて、めちゃくちゃきつかった」

 前半終了のホイッスルが鳴った瞬間、井上はピッチに立つ22人の中で誰よりも疲労感をあらわにする。両手をひざについていた。それでも45分間、走り続けた。

 中央に陣取るだけではなくサイドにも流れながら、相手の最終ラインの背後に抜け出す動きをひたすら繰り返す。さらに、前からプレスに行きたい欲を抑えながら、与えられた相手のボランチにつくというタスクも忠実にこなした。

 前半終了間際には貴重な2点目をアシストした。ゴールキックの際にチーム全体が寄せていたことによって左サイドでボールを受けると、相手の間を通す斜めのパスをマテウスに送る。

「奪った瞬間に相手の3バックの脇が空くのはウィークポイントだと思っていたので、そこを突けてよかったです。練習でもああいうシーンは結構ありますし、それが活きたと思います。練習の積み上げです」

 どちらかと言えば狙いすましたというよりも感覚で出したパスであり、自身も細かな解説はしなかったのだが、やや内側とはいえ左サイドからクロスではなくスルーパスを送ったのは、トップ下でプレーしていることが頭の片隅にあったからなのかもしれない。

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