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Jリーグ 5か月前

「全く通用しなくて…」あのときとは違う。藤田息吹の経験がファジアーノ岡山の根幹「ずっと積み上げてきた」【コラム】

シリーズ:コラム text by 難波拓未 photo by Getty Images

ヴィッセル神戸の準備は万全だった

 木村太哉や江坂が相手DFに寄せようとすると、神戸のDFは躊躇なくロングボールを蹴ってきた。トラップしてすぐのタイミングやダイレクトで放り込んでくるため、岡山は制限を掛けることができない。飛んできたロングボールを3バックがクリアしようとするも、佐々木大樹と宮代大聖の巧みなボディコンタクトにより大きく弾き返すこともできず。

 岡山陣内の中央付近にボールがこぼれるシーンを何度も作られると、神戸は井手口陽介を筆頭に「待ってました」と勢いよくルーズボールに突っ込んでくる。意図して発生させたセカンドボールに対する準備は万全だった。

 セカンドボールワークの優劣はリアクションの速さで決まるのが一般的だ。しかし、神戸はボールがこぼれる位置をデザインしていたため、アクションとして行っていた。予測のレベルを超越した出足の速さと深いスタンディングタックルでボールを回収され、岡山は自陣に閉じ込められる時間を過ごした。

 岡山にも出足の速さと強度の高さを武器に、こぼれ球の回収が得意な選手がいる。昨季J2でリーグトップのこぼれ球奪取総数174回を叩き出した藤田息吹だ。フィールドプレーヤー(FP)最年長の34歳になった今季もチームトップの75回を記録。岡山のスタイル体現に欠かせない選手として、FPでは2番目に長い1,947分間プレーしている。

 今節もボランチで先発すると、自身の周りを漂う佐々木と宮代をポジショニングの微調整でケアしつつ、ルーズボール争いに立ち向かっていった。開始早々の4分に佐々木を立田悠悟と挟み込み、身体を強く当ててボールを奪取。27分には右サイドのタッチライン際でボールを持つ宮代に対して、身体を投げ出し、足を目一杯に伸ばし、倒れながらもボールを絡め取った。

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