「これがJ1を連覇しているチームなのか」ヴィッセル神戸との前回対戦で味わった悔しさ
だが、なりふり構わずセカンドボールを発生させる神戸のスタイルによって藤田の出番が激増。休む暇なく球際を戦い続けた結果、9試合連続でフル出場していた背番号24は77分にピッチを退いた。9.056kmを走って。
試合後のミックスゾーンで開口一番に出たのは、「対峙してみて、スコア通りの実力と内容だったかなと感じています。相手は局面が強いので、なかなかそこで自分たちが上回れなかった」という言葉だった。局面の強さは岡山が大事にしてきた部分ではあるが、「強度も含めてあれがJ1のトップのレベル。あそこを目指して、より高い基準で求めていかないといけないのかなと思いました」と差を感じたようだ。
藤田は2-0で敗戦した2カ月前のアウェイ戦を欠場していた。「外から見ていただけですけど、本当に強度と質が高くて、『これがJ1を連覇しているチームなのか』というのをすごく感じた。そこから自分の中で意識する相手だった」と日々のトレーニングに向き合ってきたという。
だからこそ、前回対戦時に出場できなかった悔しさや画面越しから受けた刺激を原動力に、今度こそやり返すという気持ちは強かった。だが、望んだ結果は得られなかった。「もっと自分が良いプレーをして、チームの力にならないといけなかった」と自分に矢印を向けて唇を噛んだ。
王者の壁に跳ね返される形での敗戦からは、自分たちに足りないものを突きつけられた。それでも、試合後に下を向いている者は誰一人としていなかった。終了間際に意地を見せたことも要因だが、一度J1に跳ね返されたベテランの経験がチームの根幹に組み込まれている。