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「泣きながら読んだ」山田直輝が初めて知った妻の気持ち。一時は現役引退を決意も。妻が見たサッカー選手のリアル

text by 加藤健一 photo by Kenichi Kato

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出版イベントに出席した山田直輝
【写真:加藤健一】

山田直輝とA子さんが発売記念イベントに登壇

 27日、湘南蔦屋書店(神奈川県藤沢市)でFC岐阜に所属する山田直輝(以下、山田)の著書『となりのヤマダ君 小さくて足が遅くてケガの多い35歳のサッカー選手』の発売記念イベントが行われた。登壇した山田と、共著者の妻・山田A子(以下、A子)さんに、イベント終了後に話を訊いた。

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 本書は山田の半生を、山田本人の視点と、A子さんの視点の両方から描いたもの。10代のころから現在に至るまで、当時の出来事と心情が克明に記されている。山田は制作の過程で「何回も読んだんですけど、毎回泣きながら読んだ」と言う。

「辛かったとき、良かったときの妻の気持ちを(本書を通じて)初めて知ったこともある。(自分の)些細な行動や言葉をそう受け取ったのかって」

 一方でA子さんは山田や元サッカー選手だった山田の父・隆さんにも話を聞きながら筆を執った。「書くことは好きでした」と言うA子さんは、本書の制作に先行して公開していたnoteが、世に出た初めての文章だという。山田を間近で見てきたからこその視点と、独特の文才が山田という選手の魅力を掘り下げている。

 今月4日に山田は誕生日を迎え、35歳となった。中学の同級生で、20年以上もとなりで見てきたA子さんは、山田の変化を感じることがあるという。

「35歳になって、若いころと比べて身体のメンテナンスにかかる時間は違う。目に見えて疲労の回復に時間を取られますし、オフも次の練習のための時間という過ごし方をしている」

 4月にはA子さんと2人の子どもも岐阜へ移住。“チーム山田”のサポートに山田は感謝しながら、サッカーに全力を注いでいる。

「あとどれくらいできるか分からないので。時間をちょっといただいて、家のことを任せきりになってしまうこともあります」
 昨秋には現役引退を決意した山田だったが、岐阜でキャリアを続けることを決めた。ただ今季は怪我に悩まされ、J3リーグでは第3節以降は出場がない。

「日々向き合っています。年齢もあるのかもしれないですけど、なかなか手強いなって感じはします。でも、こうやって18年やってきたんで、これもしっかり乗り越えて、岐阜のために活躍するつもりです」

 これまでも山田は何度も怪我をしてきた。選手生命を脅かすような大きな怪我もあり、現役引退が頭をよぎったときもあった。そのたびにA子さんをはじめとする周囲のサポートを得ながら、山田はその険しい坂を上り、立ちはだかる壁を突き破ってきた。

 FC岐阜ではキャプテンを務めている。18年目のキャリアで初のキャプテンという大役に「そこの責任感というのは家でもよく口にしている」とA子さんは話す。ここまではピッチ上であまりチームに貢献できていないが、ピッチで岐阜のために戦う準備を進めているところだ。

(取材・文:加藤健一)

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