「どのポジションでも存在感というものを示していかないといけない」
「体を当てることを意識しすぎたからか、それだけの展開になってしまって、なかなか競り合いにもち込めなかった。自分の体を当てるところと、ボールの軌道を見ながら競り合えるところは競り合う、というバリエーションをもうちょっと臨機応変に増やせたらよかった。試合を終えてみて、そう反省しています」
戦列を離れていたエース、大迫勇也が7試合ぶりに復帰した58分から左ウイングへ。ジェアン・パトリッキが投入された71分からは右ウイングへシフト。途中から大雨が降り出したなかで佐々木は体を張り、町田の激しいプレッシャーの前に何度もピッチ上で苦悶の表情を浮かべた。最後まで流れを変えられなかった。
「厳しいマーク、というのはもちろん増えていくし、そのなかで何かできるかだと思っています。どのポジションでも存在感、というものを示していかないといけない年齢になっていますし、チーム内での立ち位置にもなっているなかでもっとゴールに絡み、チャンスクリエイトも増やしていかないといけない」
こんな言葉を介して自らを責めた佐々木は4シーズンにわたって背負ってきた「22番」を、今シーズンから志願する形で「13番」に変更している。チームごとに特別な背番号が生まれてきたJクラブで、昨シーズンまで4年間にわたって空き番だった「13」は神戸のエースナンバーだった。
クラブ黎明期の永島昭浩氏を皮切りに播戸竜二氏、大久保嘉人氏、小川慶治朗(現・J2カターレ富山)と歴代の「ミスター神戸」の象徴と化してきた背番号。J1リーグ連覇を達成した昨シーズンのオフに、佐々木は「着けられるのであれば、自分に着けさせてほしい」と覚悟を決めて強化部へ申し出ていた。
歴代のエースたち、そしてアカデミーからの生え抜きである小川に続きたいと佐々木が思うにいたったのはなぜなのか。答えは町田戦後に言及した「年齢」や「チーム内での立ち位置」にある。