サッカー日本代表は28日、キリンチャレンジカップ2026(国際親善試合)でベネズエラ代表と対戦し、2-1で勝利した。フレッシュなメンバーを多く起用した前半は攻撃に苦しんだ一方、後半は上田綺世、伊東純也、久保建英ら既存戦力の投入によって攻撃が活性化した。前半と後半で何が変わったのか。そして、2027年1月のAFCアジアカップ、その先の新体制をどう見るべきなのか。元日本代表DFで監督経験も持つ岩政大樹氏に、試合を時系列で振り返ってもらった。(語り手:岩政大樹)[2/10ページ]
「それほど面白くない試合にはなりました」
――その後は、お互いになかなかゴール前まで入れない膠着した展開になりました。前半をどう見ていましたか?
「基本的には、お互いにチャンスを作ることができないというか、そんなにバランスを崩すこともしなかったので、見ている側とすると、それほど面白くない試合にはなりました。
戦術的にはいろいろあって、面白いというか、玄人好みの試合ではあるんですけど。ファンの方からすると、お互いにゴール前へ行く回数も少なかったですし、なんかその中で試合をしている感じはありましたね」
――日本はベネズエラのマンツーマンをなかなか回避できませんでした。小久保玲央ブライアン選手から後藤啓介選手への長いボールも使っていましたが、前進につながらなかった理由はどこにあったのでしょうか?
「マンツーマンで3-4-3同士が戦ったときに、一つの考え方としては、最初の3-2のところのビルドアップの形を変化させるやり方がありますけど、そこは両チームとも選んでいなかったですね。
となると、3-2に対して相手がそのまま3-2でぶつけてきたところを、飛ばすようなパスが通るかどうか。そこで収まれば、一気に前方で3対3ぐらいの状況ができます。
ベネズエラのほうは比較的、体を使って前線で収められる選手がいたので、ベネズエラのほうが攻撃する回数が増えていたかな、というのが前半でした。
逆に日本の場合、小久保選手が後藤選手に対して長いボールを何本か蹴ったというか、飛ばすパスを選んだんですけど、そのパスが横にずれていたり、長すぎたりして、収まるようなことがほとんどなかった。
後藤選手の競り方も、どちらかというとあまり体を相手につけない形で、ベネズエラの選手とは少し対照的でした」
――後藤選手にボールが入った後の、周囲との関係もなかなか噛み合っていなかったのでしょうか?
「マンツーマンを長いボールで回避するのであれば、その長いボールの使い方もそうですし、収め方もそうですし、あとはそこへのかぶせ方ですかね。
佐藤(龍之介)選手、齋藤(俊輔)選手の2人とも若い選手で、2人は背後を取るのか、後藤選手が収めたところに下からかぶせに行くのか。そこもみんな探り探りやっていたような感じはしましたね。
でも、そこに収まってしまえばいろいろ絵が見えていたんだと思うんですけど、そこがつながらないので、なんとなくビルドアップがうまくいかないように見えました。
あとは長いボールを入れたときに、全体の共通認識の中で前線に飛ばして、ボランチの2人なりがかぶせに行って、セカンドボールを拾って敵陣に入っていく絵があれば、その長いボールも有効に使っているように見える。
でも、ちょっと単発で使っているように見えたんですよね。
だから、小久保選手のボールが悪いというよりも、全体も含めて、飛ばすパスを有効に使えなかったなという印象はありました」
――若い選手が多い中で、チームとしてどうマンツーマンを外すのかという共通認識も、まだ揃っていなかったのでしょうか?
「前をどういう形にさせて、どういうことをしようとするのか。ビルドアップの形を変化させるのか、長いボールを使って、それにかぶせてひっくり返すのか。どちらなのかというところも、それほど設計はせずに、そういう試合ですから、選手たちにやらせてみたという試合だったと思います。
そこが揃わずに45分戦ったというのは、別にマイナスというよりも、『そういう試合だった』という感じですね」
――森保監督としても、細かく解決方法を与えるより、このメンバーでどこまでできるのかを見ていたのでしょうか?
「だと思いますけどね。
特に今はアジアカップに向けた新戦力の見極めだと思いますし、1月の時点でこの代表は一度終わるわけですから、そこまでの期間に新戦力となるような選手、もしくは新しいオプションとなるような選手を探しているというのが今の監督だと思います。
そういう意味では、特に前線のシャドーの選手ですよね。ジョーカー的な役割でアジアカップに呼ぶ選手を探っている面が強いので、何かタスクを与えてやらせるというより、『どんな特徴を出せるの?』というのを見極めたかったということじゃないですかね」
――新戦力といえば、中野就斗選手は右ウイングバックで先発しました。プレーをどう評価しますか?
「僕は好意的に見ていましたけどね。広島ですでに非常にいい働きをしている選手なので、それをそのまま出せたかなと思います。
もっと周りと連係が取れれば、広島でやっているような、よりアグレッシブさも出るんでしょうけど、新しいウイングバックのオプションになり得ることを示したかなと思います」

