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日本代表 6年前

無名の存在からハリルJのジョーカーへ。柏・伊東純也が右サイドにもたらす推進力

終了間際に決まったMF井手口陽介(ガンバ大阪)の劇的なゴールで、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)代表を1‐0で下し、EAFF E-1サッカー選手権2017決勝大会で白星発進したハリルジャパン。味の素スタジアムのピッチに送り込まれた14人の国内組のなかで、ビッグセーブを連発したGK中村航輔とともに存在感を示したのがFW伊東純也(ともに柏レイソル)だった。群を抜くスピードを武器に積極果敢に仕掛け続けた、ロシア大会の秘密兵器候補の現在地を追った。(取材・文・藤江直人)

text by 藤江直人 photo by Getty Images

ベンチで試合を見つめながら抱いていた「ある決意」

北朝鮮戦で日本の攻撃に推進力をもたらした伊東純也
北朝鮮戦で日本の攻撃に推進力をもたらした伊東純也【写真:Getty Images】

 神懸かり的なビッグセーブを連発していた守護神・中村航輔が相手のシュートを両手でキャッチした瞬間、カウンターに対応して素早く帰陣していたFW伊東純也はすぐ目の前にいた。

 わずか数秒後。ともに柏レイソルでプレーする2人によるホットラインが開通する。中村が思い切りボールを投げた先は右タッチライン際。すでに加速する体勢に入っていた伊東が標的だった。

 9日に味の素スタジアムで開幕したEAFF E-1サッカー選手権2017決勝大会。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)代表との初戦はともに無得点のまま、時計の針は残り1分を切ろうとしていた。

 MF高萩洋次郎(FC東京)との交代で56分にピッチへ投入され、国際Aマッチデビューを果たした伊東は、それまでの戦況をベンチで見つめながら「ある決意」を抱いていた。

「自分がボールをもったら仕掛けようと思っていた。とりあえず縦に行こうと意識していました」

 そのハイライトが89分に飛び出したビッグプレーとなる。自陣のほぼ中央で中村からあうんの呼吸でボールを受けると、スピードをどんどん上げながら得意のドリブルを開始する。

 右タッチライン際を縦に駆け抜けていけば、自身の右側には北朝鮮の選手は誰もいない。左側から距離を詰めてくる相手だけをケアしながら積極果敢に、行けるところまでボールを持ち運ぶ。

 止まる気配のないドリブルに、慌ててMFカン・グクチョルが対応するも追いつけない。間合いを詰めようとすれば、さらに伊東が加速する。並走したまま、ついにはゴールラインが見えてきた。

 最後は伊東が放ったクロスを、グクチョルが何とか体に当ててクリア。コーナーキックに逃れるのが精いっぱいだった。約60メートルを駆け上がった独走劇に、スタンドも一気にヒートアップした。

 低い位置でブロックを形成し、カウンターを仕掛ける北朝鮮に押し込まれる展開が続いた。最初の交代カードとして起用された伊東へ、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が与えた指示は単純明快だった。

「低い位置だと裏を狙えと言われますけど、アタッキングサードまで行ったら自由にやっていいという感じだったので。少しは自分のよさを出せたかな、と思っています」

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