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ポステコグルー監督が退任会見「これからもマリノスファミリーの一員」。日本での「心残り」は…

text by 編集部 photo by Yokohama F.Marinos

アンジェ・ポステコグルー
【写真提供:横浜F・マリノス】


 横浜F・マリノスは10日、アンジェ・ポステコグルー監督の退任を発表した。3年半にわたってチームの指揮を執ったオーストラリア人指揮官は、今夏からスコットランドの名門セルティックを率いることも決まっている。

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 ポステコグルー監督は11日にオンラインで退任記者会見に臨み「初日に来た時からこれまで、楽しい思い出しかない」と語った。2019年にはマリノスを15年ぶりのJリーグ制覇に導き、2020年にはAFCチャンピオンズリーグ(ACL)でクラブ史上初の決勝トーナメント進出も果たした。

「長い年月だったかもしれないが、成功ももたらし、見ていて楽しいサッカーを作り上げてきた。この3年半という期間で、自分はどれだけのものを得ただろうか。ここで去ってしまうのは悲しくもあり、本当に寂しい気持ちでいっぱいだ。だが、これからもマリノスが発展していくところを常に見守り、新天地でもマリノスファミリーの一員としてやっていきたい」

 2018年にマリノスの監督に就任すると、「アタッキング・フットボール」を掲げてチームを大きく改革した。インテンシティが高く、ボールも人も速いテンポで動き続けるエキサイティングなサッカーでJリーグを席巻。見る者を魅了するだけでなく、2年目にはリーグ優勝という結果も出した。

「今はマリノスのサッカーが確立されていると思う。このクラブに来て自分がやろうとしていることがしっかり根づきはじめており、これが今後も続くことを願っている。自分はここから離れてしまうが、今後も常にクラブとつながっている。何かがあればアドバイスもしたいと思う。これからも変わらずこのサッカーを続けてもらえたら嬉しい」

 ポステコグルー監督はチームに残って戦う選手たちに、夢を託した。「やってきたこと、自分、このサッカーを信じること。そして仲間を信じ、恐れずやっていくことが大事だ」と最後に伝えたという。

 では、日本でやり残したこと、成し遂げられなかったと考えているものは何だろうか。ポステコグルー監督は「もっともっとこのクラブでタイトルを獲りたかった。それが心残りだ」と悔やむ。

「タイトルをもっともっと獲りたかった。ACLに出場し続けたり、上位に常に食い込む。そういうチーム作りを掲げているし、タイトルをもっともっと獲ることによって、強いマリノスをもう一度作り出したかった。その思いは今でも変わらない」

 当面はアカデミーグループダイレクターを務める松永英機氏がトップチームの指揮を執る。ポステコグルー監督は、選手やスタッフに全幅の信頼を寄せ、自分のいなくなったマリノスにも大きな期待を寄せているようだ。

「選手もスタッフも、マリノスのサッカーをだいぶ理解してくれていると思っている。もちろん簡単なことではなく、常にチャレンジングなことが多い。だが、関わってきた選手やスタッフが、これからも自分が植えつけてきたサッカーを続けてくれると信じているし、それを追いかけ続ける。楽しみにしている」

 今季はリーグ戦で2敗しかしておらず、まだ十分に優勝を狙える位置につけている。「これからのマリノスの発展であったり、クラブの目指していくものが楽しみで仕方ない」と語る“ボス”の期待に応え、シーズン終了時に銀のシャーレを掲げることが、ヨーロッパへ旅立つポステコグルー監督への最高の恩返しになるだろう。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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