
セレッソ大阪でプレーする香川真司【写真:Getty Images】
香川真司がPKで決勝点。チームの命運をかけた一撃はまるで、8年前の2018年ロシアワールドカップ(W杯)・コロンビア代表戦を彷彿とさせる。今季はベンチスタートが多いが、かつて世界の最前線で戦った男の闘志はまだまだ燃え盛っている。「今季も正直、不完全燃焼」と語る8番が目指す場所は、依然としてピッチの上だ。(取材・文:元川悦子)[1/2ページ]
明治安田J1百年構想リーグ・地域ラウンドWEST第16節
セレッソ大阪 3-2 V・ファーレン長崎
ヤンマーハナサカスタジアム
WEST上位進出のきっかけを掴みたいセレッソ大阪

セレッソ大阪対V・ファーレン長崎の模様【写真:Getty Images】
アーサー・パパス監督体制2年目の2026明治安田J1百年構想リーグにて、セレッソ大阪は優勝およびAFCチャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)出場権獲得を目指し、ここまで戦ってきた。
今季は2028年ロサンゼルスオリンピック(ロス五輪)世代の石渡ネルソンや横山夢樹ら若い力が台頭するなど好材料もあったが、WEST中位から抜け出しきれていないのも確かだ。
4月末〜5月上旬の大型連休にしても、4月25日のサンフレッチェ広島戦の黒星からスタート。ヴィッセル神戸、アビスパ福岡、清水エスパルスとの3試合は連続PK戦に突入する。
前者2つはキム・ジンヒョン、中村航輔の両守護神の活躍もあって勝ち点2ずつを手にしたが、清水戦は敗戦。連戦ラストの5月9日のV・ファーレン長崎戦では何としても90分勝利して、WEST首位浮上の可能性を残したかった。
そこで指揮官は前節からスタメンを4枚変更。攻撃陣は香川真司と櫻川ソロモンがベンチスタートとなり、チアゴ・アンドラーデと中島元彦が先発出場した。
昨季のセレッソは総得点60・総失点57という「点も取れるが、失点も多いチーム」だったが、今季は15試合終了時点で総得点・総失点ともに14。失点が減ったことは好材料だが、思うように点が取れていない。
武器になりつつあるセレッソ大阪のリスタート

V・ファーレン長崎戦で先発出場の中島元彦【写真:Getty Images】
だからこそ、この試合は確実にゴールを奪ってスッキリと勝ち切りたかった。
序盤こそ長崎のハイプレスに苦しんだセレッソだが、10分過ぎから主導権を握り始めた。が、その矢先の19分、ディオン・クールズがペナルティエリア内で山﨑凌吾を足で削ってしまった。
長いVAR判定の末にPKが認められ、25分に山崎がゴール。まさかのビハインドを背負うことになったのだ。
それでもわずか3分後に同点に追いついてみせる。
最終ラインの畠中槙之輔からインサイドに絞っていた柴山昌也にタテパスが渡り、その流れで中島が鋭い動き出しを披露。裏抜けからボールを受け、自らシュートを打とうとしたところにチアゴが走り込んできて左足を一閃。見事にネットを揺らしたのだ。
中島にしてみれば少し悔しさも残ったかもしれないが、セレッソとしてはいち早く試合を振り出しに戻せたのは大きかった。
そこから彼らが一気にペースを握った状態で、1−1で前半を終えることになった。
迎えた後半。セレッソはさらに攻撃の圧力を加えていった。
2列目の柴山、中島、横山と最前線のチアゴが流動的に動きながら長崎守備陣をかく乱。横山の左からのドリブル突破も光った。
そして63分、柴山の右CKからキャプテン・田中駿汰が打点の高いヘッドで追加点をゲット。セレッソの10番は前節も同じようなパターンからゴールを奪っており、このリスタートは彼らの大きな武器になりつつあると言っていいだろう。
このリードをしっかりと守り切れれば、セレッソはより多くの勝ち点を積み上げられるようになるのだが、それができないのがこのチームの詰めの甘さだ。
「スッキリ勝ち切るためには日頃から…」

チーム2点目をあげた田中駿汰【写真:Getty Images】
案の定、9分後に自分たちのリスタートから高速カウンターを繰り出され、マテウス・ジェズスに長い距離を走られて2点目を奪われてしまったのだ。
ベンチで戦況を見守っていた37歳の大ベテラン・香川真司は厳しい表情を浮かべ、チームとして乗り越えなければいけない課題を指摘する。
「それは今に始まった課題ではない。セレッソは若いし、まだまだ成長しなきゃいけないチーム。スッキリ勝ち切るためには日頃から1人1人が勝たせるためにプロとしてどうするかを考えないと。
それはもう一言で言える話じゃない。プレッシャーを感じながら日々やれるかどうかっていうところが非常に強く求められるんじゃないですかね」
とはいえ、2−2になった以上、もう1回ギアを上げて長崎を突き放さなければいけない。
81分には中島が首尾よくPKをゲットし、3点目を奪うチャンスがあったが、これは相手守護神・波多野豪に止められてしまう。
その流れを見定めたパパス監督はラスト5分のタイミングで香川、上門知樹、櫻川の3枚を投入。フレッシュなアタッカー陣を起用して攻め込もうとした。
その思惑が後半アディショナルタイム突入直後に的中。香川が送った鋭いスルーパスを受けた櫻川がペナルティエリア内で相手DF照山颯人のハンドを誘い、PKをゲットする。