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本田圭佑 10年前

不調の本田はなぜ蘇ったのか? セードルフ監督が課したタスクと献身性が活きた理由

フィオレンティーナ戦でフル出場した本田圭佑。前節までとは打って変わって現地からも高評価を得た。この試合で本田がセードルフ監督から課せられていたタスクとは何か? そして献身的な動きが活きた理由とは?

text by 神尾光臣 photo by Kazhito Yamada / Kaz Photography

苦戦した前半でもこなしていたタスク

不調の本田はなぜ蘇ったのか? セードルフ監督が課したタスクと献身性が活きた理由
本田圭佑【写真:Kazhito Yamada / Kaz Photography】

 今回は、90分間を走り切った。前節のラツィオ戦で、右サイドでまずまずのバランスを取りながら後半早々に下げられ不完全燃焼に終わった本田は、フィオレンティーナ戦にフル出場し、勝利に貢献した。

 技術を輝かせ、得点機を作っていたというわけではない。いや、率直に言って前半の出来は酷かった。カカのクロスを空振りした3分のシュートミスに始まり、中に絞ってボールを受け、パスを出せば引っかかる。

 ターラブとのワンツーや、右サイドに走って左クロスをダイレクトで折り返したプレーなど時折光るプレーは見せるものの、それと交互にミスも繰り返す。

 たらればの話をしても仕方がないのだが、もしフィオレンティーナにジュセッペ・ロッシやマリオ・ゴメスが健在で、ボールを支配していた前半の時間帯に先制をしていたのなら、真っ先に変えられていたのは本田だったこともあり得る。

 かつてあの中田英寿をこき下ろしたフィレンツェの記者席からは「本田の採点は3だな」「ミランは10人で闘っているのと同然」などと、嘲笑まじりの辛辣な批評が聞こえた。

 ただそんなさなか、本田はある一つのタスクを実直に、そしてほぼ完璧にこなしていた。それは右サイドをカバーし、全体のコンパクトネスを保つのに貢献すること。フィオレンティーナを攻略する上で、戦術的には重要なプレーだったのである。

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