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「いかに勇気を持って前に出るか」。シュツットガルトでの4季目、超攻撃サッカーに挑む酒井高徳

text by 本田千尋 photo by Getty Images

2バックはカウンターに晒される危険性も

 また、ブラジルW杯の直前にはドイツ代表にも選ばれた新星から1対1を仕掛けられたときも、酒井はじっくりと対応した。

「チームメイトから、フィジカルもスピードもスタミナもある選手だと聞かされていました。けど、足元はないから、って。

 前に対するスピードを持たせちゃうと凄く勢いのある選手かなって思ったんで、裏に出されるっていうところに気を付けて、足元につけさせるっていうのを意識した。そうしたら、そんなに怖いシーンはなかったです」

 ボルシアMGのワントップに入ったホルゴタには、対人に強いCBのルディガーとシュワーブがきっちり対応し、仕事をさせなかった。ボルシアMGは4-2-3-1の布陣で臨んだが、CFにボールが収まらないこともあって、なかなか効率的な攻撃を仕掛けることが出来ない。

「先手を取る」シュトゥットガルトのペースで前半を終えると、51分にはマキシムが先制ゴールを突き刺した。1-0。

 しかしフェーの2バックは、メリットばかりではなく、もちろんデメリットも存在する。両SBがどちらも高い位置を取るということを考えれば、当然と言えば当然のことだが、それはそのまま後方に相手へとスペースを明け渡すことになる。サッカーにおいて、90分間常に先手を取り続けることは不可能だ。

 19分には既に、ハーン、トラオレを中心とするボルシアMGの強力なカウンターに晒されていた。

「スカウティングでは、相手のボールはサイドに寄ってくる、という情報があったんです。そこで奪ってサイドチェンジから攻撃に繋げる意識を持つようにとミーティングで言われて、高い位置を取っていたんですけど、まあ、ちょっと危ないかなあ…って思うところは何回かありました」

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